ワコールHDとデサント 資本提携や経営統合は否定

2018/08/30 20:22 更新


 ワコールホールディングスの安原弘展社長とデサントの石本雅敏社長は、両社が30日に結んだ包括的業務提携に関する会見を京都市内のホテルで開いた。

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 会見の冒頭で、一部報じられた資本提携や将来的な経営統合などについては、両社とも「現時点で検討しているという事実は無い」と否定した。その上で両社で早期に「提携検討委員会」を立ち上げ、協業の中身を具体化していく。

 コンプレッションウェアをはじめとする新商品の開発などから着手し、国内外で両社が持つ生産・販売・物流ネットワークの相互活用などに進むとみられる。提携に関しては関西出身の企業同士であり、ともに人体工学に関する知見をもち、物づくりを重視する企業風土がある。強みとする事業領域で競合する部分は少ない。

 さらに両社の経営トップ同士が数年来、何らかの協業を具体化しようと考えてきたことから今回の発表に至った。

 具体的な案件では、①「アクティブライフスタイル」商品の開発②スイムウェアやスポーツインナーの協業③靴のインソールなどを想定する「グラフェン」素材の商品化④ECサイトに関する相互リンクや送客⑤国内外拠点の相互活用ーなどが内容となる。

 提携のタイミングや相互のメリットはまだ不透明な部分が多いが、両社ともに「包括的提携を決めた以上、スピード感を持ってこれまでに無い商品、市場の開拓を進めていかねばいけない」と決意を表明した。将来的に「数百億円規模のシナジー効果を出したい」としている。

 分かりやすいワコールのメリットは、伸び悩むスポーツのウエルネス事業部の立て直しにデサントの持つ力を活用でき、デサントは、欧米に強いワコールの販路の活用などがメリットとなる。

(左から)ワコールホールディングスの安原社長、デサントの石本社長


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