《視点》「間に合う」安心感

2026/07/09 06:23 更新NEW!


 先週土曜日、祖父を見送った。読書好きで私が新聞社に入ったことを大層喜んでくれた人だった。小学生の頃に曽祖母が亡くなって以来の葬儀で、私もいとこの多くも喪服を持っていなかった。急なことの上、地方のため、専門店に足を運ぶ時間もない。朝一番で駆け込んだのは、全国チェーンの衣料品店だった。

 店内にはブラックフォーマルだけでなく、バッグや数珠、靴まで必要なものが一通り揃っていた。短時間で支度を整えられ、無事に祖父を見送ることが出来た。慌ただしい中で、そのありがたさをしみじみと実感した。

 地方では衣料品店そのものが少なくなり、選択肢は以前より限られている。量販店は普段着を買う場所という印象が強いが、冠婚葬祭のような予期せぬ場面でも暮らしを支えてくれる存在だと改めて感じた。

 量販店ばかりでは味気ないという声もある。しかし、必要な時に必要なものを適正な価格で届けることも、小売業界の大切な役割ではないだろうか。日常だけでなく、人生の節目にも寄り添う売り場の価値を、改めて考えさせられた。

(果)



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