先日、10年代半ばに欲しかった着丈の長いラウンドヘムのTシャツのブランド名が急に気になった。どうしても思い出せず、チャットでAI(人工知能)に質問した。当時、そのTシャツを着ていたと思われるスポーツ選手やアーティストの名前を伝えると、候補が挙がってきたがどれも違った。
たしか原宿のセレクトショップで「チープマンデー」などと一緒に売られていた。ブランド名は「E」から始まった気がする。記憶の断片を足すうちに、探していたブランドにたどり着いた。
懐かしくなってフリマアプリを開いたが、結局買わなかった。当時も試着し、丈が長すぎて見送ったことまで鮮明に思い出した。
着ていた人、売られていた場所、一緒に並んでいたブランド、頭文字だけをかすかに覚えていた。従来の検索では、何を入力すればよいのかすら見当がつかなかったと思う。
あいまいな記憶でも、会話を重ねれば輪郭を帯びてくる。ファッションでは、欲しいものを言葉で説明できないまま探し始めることが多く、これまでは店員が会話の中でそのあいまいさを受け止め提案につなげてきた。AIによってデジタルの入り口も検索から対話へと変わり始めていると実感した。
(平)
