米国最大の小売業ウォルマートが、Tシャツやスウェットで、綿花から縫製まで「米国生産」を本格導入する。発注先は、12年前にスタートしたアメリカンジャイアント社。
同社は、「チャンピオン」のスウェットシャツを作る工場として始まったが、ほとんどがオンライン販売。今回の注文は、全米1700店で扱う大量生産で、低・中所得層を対象とした厳しい価格だが、「ノーキャンセル」が確約されている。そのため、オートメーション工場の新設に投資、ロサンゼルスに75人が働く縫製工場を設立して対応する。
現在、米国で生産される衣料品は、全体の4%とされるが、1960年代までは、ニューヨークやロサンゼルスの街中にも縫製工場があり、多くが米国生産だった。しかし70年代以降、生産のほとんどが人件費の安いアジア諸国や無関税のメキシコに移ってしまった。
今年は、トランプ政権による関税政策で、サプライチェーンの見直しが迫られる。構築された組織の変更や、失った設備の再現は決して容易ではないが、「メイド・イン・USA」の動きが徐々に始まっている。
(サンフランシスコ=立野啓子通信員)