ファッション産業でも環境問題が経営課題として重視されている。衣料品回収やサーキュラーエコノミー(循環型経済)などの取り組みでは、世界からやや遅れている感のある日本でも着実に進みつつある。
一方で、「SDGs(持続可能な開発目標)にはお金がかかり、企業規模によっては難しい」とも聞く。回収やリサイクル素材の採用、システム構築などはこれまでよりコストがかかるからだ。消費者は以前より環境問題への意識を高めているが、「環境配慮商品だから高い」というのは受け入れられにくく、やはり価格は安い方がいいとの考えも根強い。
ファッション関連企業を対象に環境をテーマとした講演では、循環型や廃棄問題を率先して取り組むべきで、循環型には100%素材の商品が理想とも。参加者は総論では理解できるが、実際の現場では「コストや売り上げを追求される」と難しい現状があるとする。環境問題は世界的に取り組むべき課題だが、一企業では対応できない面もある。消費者の意識変化や何らかの支援も考えていかなければ進まない。
(伸)