《視点》子育てのように

2019/07/17 06:23 更新


 子育てする中で驚いたことがある。1歳と少しになる娘が、姉に負けまいと次から次にいろんなことにトライし、同年齢だった時の姉よりも新しいことを早くマスターしていく。

 〝学ぶ〟の語源には〝まねをする〟の意味もある。記者も学生時代にテニスのトップ選手のフォームをよく参考にした。身近に手本となる対象がいるから、大成したスポーツ選手には末っ子が多いという話もうなづける。

 ある専門店の社長を取材した時のこと。「かつては自分の背中を見て仕事を学んでもらっていたが、店と人が増えていく中でコミュニケーションが不足し、退職する人が続いた」という。反省して経営理念を作り、社員に積極的に声をかけるように自身を変えたところ、社内の雰囲気が好転していった。「声をかけて『あなたを大事にしている』という思いを伝えることが重要だった」と振り返る。

 人材難が続く。学生の間では人を育てる仕組みがあるとか、活気がある、楽しそうに働いているといった部分を重要視することが増えているようだ。子育てのように時間や手間、愛情をかけて学べるかが、会社にも欠かせない。

(畔)



この記事に関連する記事