京都服飾文化研究財団(KCI)を取材する機会があった。収蔵庫などを見せてもらったところ、その中に年代ごとにウエストやバストの位置など体形が全く異なるマネキンがあった。年代に合ったマネキンに着させないと服が美しく見えないということで、様々な美術館から引き合いもあるようだ。
最近ではマスカスタマイゼーションなど体形に合わせる技術が急速に発展しているが、一方で、ダイエット産業は相変わらず盛ん。コルセットを着用していた19世紀ごろと比べても大きく変わっていないように思える。それはやはり、いつの時代も理想のシルエットがあるからだろう。
ちょうどKCIギャラリーで開かれていた展覧会では1900年代からの移り変わるスーツのスタイルを紹介していた。肩パッドが入ったワイドなものもあれば、細身のものなど時代によって様々。デザイナーたちが作り上げてきた、時代によって異なるシルエットや美意識を示していた。
個人の体にフィットした服が、必ずしも理想のスタイルとは限らない。着用した際の快適性は確かに重要だが、服そのものを形作るデザインという観点も忘れてはならないはずだ。
(騎)