「催事が好調」と話す百貨店が増えている。特に北海道や九州などの食物販催事(物産展)が人気だ。ある地方百貨店は、バレンタイン企画を含め24年度の全ての物産展が過去最高売り上げだった。25年度も3月と5月に実施した物産展は最高を更新した。
宿泊費の高騰などによる旅行控えもあるのだろう。旅行気分を味わえる物産展の集客力が高まっており、特に北海道展は強い。とはいえ中身は重要で、先の百貨店は数年前に物産展の専任バイヤーを配し、新規出店者の開拓に力を入れてきた。鮮度ある提案で〝ここでしか味わえない〟物産展の価値が向上している。
物産展強化の一方で、アニメやキャラクターなどエリア初企画のIP(知的財産)コンテンツ催事も重視している。ファミリー層など新規客の集客を狙い、ほぼ毎月のように連打している。当たり外れはあるようだが、ファミリー層の集客に結びついている。
常設販売していないラグジュアリーブランドや著名な和洋菓子の期間限定店にも精力的に取り組んでいる。毎年、定期開催している期間限定店も増えてきた。狙いである常設化が実現するのはまだ先のようだが、手応えは得ている。手間と時間はかかるが、まずは催事からわざわざ来店する価値を作る。百貨店の長年の課題である、新規客層の獲得と集客力を高めていく有効な手段だと思う。