あるカジュアル専門店の店長の取材で、若手スタッフの教育についての話を聞いたときのことだ。「お客の心をどう動かすか、スタッフ自ら考えて欲しい」のだが、「感動するような接客を今まで受けたことのない世代もいて難しい」と話していた。
街へ行けば衣料品を扱う店がいくつもあり、それなりの品質で流行をのせた服が簡単に買える。着こなしのコツや商品特徴も、スマートフォンで検索すれば、簡単に情報が入手できる。なるほど時代や環境の変化が、〝接客されることの醍醐味(だいごみ)〟を、若者の中で減らしてしまっているのかもしれない。
アパレル業界では小売り店頭の厳しい状況が続いている。特にヤングをつかまえることは難しいようだ。しかし、こんなときだからこそ、ファッション商品を扱う店舗には、改めて接客力を重視して欲しいと思う。
ECが進化して広がりを見せるなか、実店舗の付加価値もますます問われている。実店舗には、心を揺さぶるぐらいの熱い接客や店作りで、存在意義を示して欲しい。
(畔)