みなさんは洋服をどのように保管しているだろうか。記者は消耗品の安いシャツやカジュアルなジャケットは、クリーニングに出すと付いてくるプラスチック製のハンガーを使う。一方、背伸びして買った高いジャケットやコートだけは型崩れしないよう、丁寧に作られた木製のちょっと良いハンガーに掛けている。初めて木製ハンガーに大切なジャケットを掛けた時の何とも言えない充足感は忘れられない。
その充足感がハンガーメーカーの商機になっている。あるハンガーメーカーは10年前から木製高級ハンガーの小売りの可能性を模索し、需要を着実に開拓してきた。例えば、都内百貨店での個人向けをはじめ、結婚式の引き出物、昇進祝いや退職時の贈り物、企業の記念品――と様々。
洋服にこだわる人は、その保管までこだわるため、少数とはいえ需要はあるそう。それ以外の大多数の人は自分で買わなくとも自宅や職場でハンガーを使うし、「それが高級な木製ハンガーだと喜ばれるので贈り物に適している」とのこと。
ユーザーの心に寄り添う商品やサービスは消費に結び付く。商売の原点だろう。言うまでもないことかもしれないが、市況低迷による焦りから無意識にユーザーの心が置き去りにされてはいないだろうか。(嗣)