《視点》わくわく感を提供する

2017/06/06 04:00 更新


 滋賀県近江八幡市に草屋根、土壁でできた風変わりな巨大建造物がある。たねやグループが15年にオープンしたスイーツの複合施設「ラコリーナ」だ。デパ地下でも人気のバウムクーヘン「クラブハリエ」といえばご存知の方も多いだろう。

 駅からも遠い田園地帯の真ん中にあり、決して交通の便がいいとは言えないが、驚くべき集客力を誇る。最新の15年度県内施設の集客数ランキングで、彦根城や比叡山延暦寺といった有名観光地を抑え、2位に躍り出たのだ。

 建築家・藤森照信氏が設計した建物の不思議な存在感もさることながら、ここでしか食べられない生どらやきやジェラート、提供される食材を育てる自然農園、ワークショップ企画など、訪れたものを引き込む仕掛けが随所にあふれている。

 〝衣〟に比べると〝食〟は出費のハードルが低く、製造プロセスを見せるなどでエンターテインメント性を打ち出しやすいと言えるかもしれない。しかし、実際にここでわくわく感を味わうと、物販でもこういった体験が提供できないものかと感じてしまう。(恵)



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