《視点》夢の力

2017/05/25 04:00 更新


 休日を利用して滋賀県の近江八幡市にある田園と里山に囲まれたラコリーナ近江八幡を訪れた。この地で長い伝統を持ち、洋菓子でも成功した和菓子のたねやが持続可能な社会を実現すべく、足元の自然や労働環境を整備した「丘」だ。総面積約11万平方メートルに本社のほかグループの旗艦店や整えられた菜園、水田があり、三角屋根に芝が生い茂るメインショップは特に強い印象を放つ。

 何より驚かされるのは、そこに集まる人の多さ。400台以上止められる駐車場はほぼ埋まり、店内は人であふれかえる。外国人の姿も珍しくない。もちろん菓子を買う目的もあるだろうが、多くが菓子の購入より、経営者の理念と作り上げた環境を楽しみにしているように見えた。

 理想の追求はその実現が可能かどうかを考えるのではなく、実行して初めて成し遂げられる。とうもろこし畑の中の球場に多くの人が集うファンタジー映画のラストシーンを、「三方良し」の近江商人を多く育んだ地に重ね見て、夢の力もまんざらではないと思った。(樹)



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