《視点》入れ知恵

2017/04/21 04:00 更新


 根本的な問題解決には遠いものの、実習生頼みの国内縫製業にとっては朗報と思っていたが、実はそうとも言えないようだ。

 昨年、外国人技能実習生に関する技能実習法が公布された。今年11月1日の施行に向け準備が進んでいる。中でも「優良」と認定されれば受け入れ期間が3年から5年に延長されることに注目が集まっている。

 しかし、ある縫製工場の経営者が、「(送り出し機関との窓口の)監理団体は『実習生はこれまで通り3年で帰国させ、新しい実習生を受け入れた方がよい』とアドバイスしている」と実情を教えてくれた。

 理由は4年目に入る前の「1カ月以上のいったん帰国」。「一度祖国に戻ったら、入れ知恵され日本に戻ってくる」とその協同組合は懸念しているらしい。

 長時間労働、割増賃金未払いなど実習生に違法労働を強いている国内工場はまだ多い。実習生が工場の「すねの傷」をえぐる知恵を身につけるのを恐れている。

 なんとも後ろ向きな情けない話である。協同組合も縫製工場も違法労働を断ち切り、自立する道を目指すべきである。(森)



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