FR×島精機、両社の思惑とは

2016/11/01 06:30 更新


 ファーストリテイリング(FR)が島精機製作所の子会社、イノベーションファクトリー(和歌山市)に出資した。同子会社は縫製不要のニット、「ホールガーメント」の製品を生産する。今後は、ユニクロ向けを中心にホールガーメント製品の開発・生産拠点として活用する考えだ。(柏木均之)

 イノベーションファクトリーは昨年12月に島精機がホールガーメント製品を生産する子会社として設立した。ファーストリテイリングは10月27日付で同子会社に出資したが、同子会社は今秋スタートした「ユニクロU」のレディスニットの一部商品の開発をすでに手掛けており、共同出資会社となる以前から、両社の共同事業にすることを想定していたようだ。

  ホールガーメントは、島精機の開発した編み機で作るニット製品で、縫製なしで作れるため、縫い代のごろつきがなく、デザイン性の高いセーターが生産できる。編み機自体は日本や欧州、最近では中国などのアパレル生産国でも導入が進んでいるが、能力をフル活用して製品を作るには技術者のノウハウが必要になる。

 編み機の価格も高いため、中・高級アパレルブランドでは採用されているが、ボリュームゾーンでの普及はこれからという段階だ。島精機からすれば、世界中で販売し、売り上げが1兆8000億円近いファーストリテイリングと組めば、価格を抑えたホールガーメント製品が広く市場で浸透するきっかけとなる。

 一方、ファーストリテイリングはこの間、トレンド対応を含め、自社製品の付加価値を高める取り組みに力を入れてきた。今秋、イノベーションファクトリーが作ったユニクロUの一部製品は日本製だが、今後は同拠点で開発したデザイン性の高いニット製品を海外を含め大量生産して販売することで、市場での競争力を強化したい思惑があるようだ。

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