ユナイテッドアローズの自社EC 運営をUA主導へ

2019/02/07 06:30 更新


 ユナイテッドアローズ(UA)は自社ECの開発、運営体制を自社主導に切り替える。09年に「UAオンラインストア」を開設した。現在は自社ECサイトの開発をゾゾの子会社アラタナに委託し、EC在庫はゾゾ側と連動して発送しているが、サイト開発は別の企業に切り替え、自社ECで販売する商品は自前の物流施設から発送業務を行う。カスタマーサポートも自社のお客様相談室に統合する。体制変更により、実店舗とECを結んだサービスのレベルを上げていく考えだ。一方、ゾゾタウンへの出店は継続する。

(柏木均之)

 運営体制の変更は、自社ECが伸びていることが背景にある。第3四半期(18年4~12月単体)のEC売上高は185億8900万円(9.1%増)で、このうちゾゾタウンでの販売比率は50%(前年同期は58%)、自社EC27%(22%)、残りがその他ECモールとなっている。

 ゾゾタウンでの販売自体は現在も伸びているが、自社ECも実店舗との会員統合とポイントの一元化、ブランドサイトとオンラインストアの統合などを経て、着実に売り上げを増やしてきた。

 昨年5月には自社ECの発送業務を担う拠点として千葉県流山市に最新設備を導入した物流センターを開設した。

 現状の仕組みでは、開発業務と発送業務などをゾゾ側に委託しており、自社ECの売上金額に対して一定比率の手数料をゾゾ側に支払うことになり、売り上げ規模が大きくなるほどコストは大きくなる。新体制では別の委託先と組み、システム使用料など一部費用を固定化することにした。

 運営体制の切り替えは、初期段階で投資を必要とするが、実施することで今後は売り上げ拡大に伴いコスト比率が下がるため、中長期的な収益性向上が見込める。

 自社ECで売れた商品を自前の物流拠点から送ることで店頭での試着や受け取り、商品のお直し、ギフト包装のニーズにも応えられる。

 また、自社ECサイトの仕様を顧客ニーズに沿って変更したい場合も修正にかかる時間を短縮できる。店舗配送用とEC用の在庫を自社物流で一手に引き受ければ、店頭向け在庫をECへ振り替えることも迅速にできるし、自社で扱う物流量が大きくなる分、トータルの輸送コスト削減も期待できる。

 今回の運営体制変更は、一部で言われる「ゾゾ離れ」とはニュアンスが異なる。竹田光広社長は「ファッションに特化しているモールなので、服への関心度の高い客層の目に触れる機会が多く、他ブランドとのセット買いニーズにも応えられる。若年層のユーザーも多い」とゾゾタウンを評価する。

 使い勝手や実店舗と連動して提供できるサービスの強化で、自社ECと実店舗それぞれに対してロイヤルティーが高い顧客を維持拡大する取り組みを進める一方、単独ではアプローチが難しい客層への接点として、圧倒的な集客力を持つゾゾタウンへの出店も継続し、より広い客層を取り込みたい考えだ。



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