トラノイ・トーキョー26~27年秋冬展 新人ブランド「AAaas」「フラッシュ・サークル・オブ」が光る

2026/04/06 12:30 更新NEW!


 合同展示会「トラノイ・トーキョー」26~27年秋冬展では、大阪文化服装学院のスーパーデザイナー学科3、4年生から選抜されたブランドのコレクションが目を引く存在として光っていた。

(坂入純平)

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 「AAaas」(アサヒアラカワ・アズ・ア・サービス)は、「トラノイ・トーキョーアワードウィナー」として単独ブースを構えた。デザイナーのアサヒアラカワはこの3月に同校を卒業し、この春から東京に拠点を移してブランドを運営する。

 披露したコレクションのテーマは「ユースレス」。機能性を強調した服があふれる状況へのアンチテーゼとして、機能をあえて無効化し、装飾へと転化した。例えば、レインコート生地にレーザーカットで雨模様の穴を無数に開けた服。素材自体は撥水(はっすい)だが、穴を開けることで「雨を防ぐ」という本来の機能を失わせた。

レインコート生地にレーザーカットで雨模様の穴を無数に開けた服(AAaas)

 ファスナーのエレメントを装飾化し、実際の開閉はマグネットで行うパーカ、裾から極端に長いポケットがはみ出したハーフパンツ、後ろ身頃の機能を前にすべて寄せたパンツ、ボタンホールと合わないほど巨大化させたボタンのコートなどをそろえた。手袋は手の入り口同士をつなげてマフラーのようにした。すべてユニセックスで提案している。

 服以外のオブジェも制作する。毛皮のような生地で作った本来の機能を持たない傘や花瓶、前後で脚の長さを変えて傾斜を付け、座ったり物を置いたりできないようにしたスツールなど。実用性がほとんどないからこそ、オブジェとしての存在感が際立つ。

服以外のオブジェも制作する(AAaas)

 すでに「11747391」「ダミエ」など大阪のセレクトショップで扱いがあるほか、「ガーデン」でも期間限定店を開いた。コートで12万円前後、パンツで10万円程度。

 同校から出展した「フラッシュ・サークル・オブ」も、発想を丁寧に形にした。ブランドを手掛けるのは越智暖日さん。コレクションのテーマは「オフィスで働く女性」。通勤電車で見かけた、スーツ姿で窮屈そうに身をかがめる女性に着想を得た。その姿に宿る社会的な圧力や内面の健気さを見つめ、装いとして肯定的に落とし込んだ。

 象徴的なのが、椅子に座ってパソコンに向かう猫背の姿勢を、そのまま服に置き換えたようなコートだ。背中側は大きくふくらみを持たせたコクーンシルエット。制作過程では前裾に芯を入れて大きく張り出す造形にしていたが、最終的には着やすさを考えて芯を抜いた。ポケットに手を入れると前裾が張り出し、そのフォルムが現れる。体を縮こまらせて座った時、デスクとの間に生まれる空間を思わせる。

ポケットに手を入れると前裾が張り出すコート(フラッシュ・サークル・オブ)

 袖は肩回りの生地を身頃に巻き込み、内側へ閉じるような形にした。それをシルバー製のジュエリーパーツで留め、拘束感や圧力を感じるフォルムに装飾性を加えた。抑圧を思わせる造形でありながら、その内側にあるかれんさを静かに肯定している。

 ブランド名は「光の輪」を意味する。人と人とのつながりを大切にしたいという越智さんの思いを込めた。将来的にはファッションにとどまらず、他分野の作り手とも協働しながら、プロダクトチームのような広がりを持たせたい考えだ。



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