5月11日、岡山市内で飲食店がひしめく繁華街・平和町に「YABAY TEMPURA」(ヤベエ・テンプラ)がオープンしました。「ヤベエ」とは、岡山弁で驚きや感動を強調する感嘆詞です。同店のシグネチャーは、独自に開発した創作天ぷら「TEMBREAD」(テンブレッド)。この新機軸の天ぷらが目指すのはニューヨーク(NY)への出店です。立ち上げ前から、グローバルを見据えた商品と店舗開発に向き合ってきました。今回は、オープン初日から盛況を呈する同店の紹介とともに、「地方発」のアティチュードについて私見を書きたいと思います。
【関連記事】会いたい人は誰ですか? 出会いが地域を動かす《プラグマガジン編集長のローカルトライブ!》
〝好き〟を形に
この店を始めたのは、岡山で人気の天ぷら店「天ぷらおよべ」を営むケイゴさんとリエさん夫婦。数年前に試作したテンブレッドの味に海外展開の可能性を感じ、試行錯誤を重ねながら商品化しました。

ハムやチーズ、海鮮、野菜などをバゲットで挟んで揚げるこのメニューは、天ぷらともサンドイッチとも異なる独自の食感を持っています。また、あんこと餅、チーズと蜂蜜など、バリエーションは甘味にまで拡張。選び抜かれた素材の組み合わせの妙と卓越した技術で揚げられるテンブレッドは、油っぽさが残らず、いくつでも食べられるような軽快さも特徴です。

同店は、空き店舗となっていた純喫茶の建物をできる限り生かしたしつらえとなっており、ひときわ目を引くのは、カウンター下の壁材に使われている年季の入ったスケートボード。古き良きアメリカの家具や雑貨が、ロウアーイーストな雰囲気を感じさせます。車やバイク、服やアクセサリーに至るまで、大のアメリカビンテージ好きの店主の〝好き〟が詰まった店内で供される新しい天ぷらには、一点の曇りもありません。


それは、〝売れる理由〟より先に、〝やる理由〟があるからです。アメリカへの憧れと、自分自身が本当に食べてもらいたい味。そういった純粋な衝動こそが、テンブレッドに独自の魅力を与えているように思います。

オリジナルであるか
地方には、東京の流行が3年遅れてやってくると言われていました。これだけスマートフォンが普及して情報に格差が無くなった現代でも、地方が流行を受け入れる時間感覚としてはあまり変わっていないように思います。
ここ岡山でも、〝映えるスイーツ〟を筆頭に、どこかではやったものが数年後に「◯◯で話題の」といった触れ込みとともに導入されては、消えていきました。地方は、トレンドに関しては受け身になりがちなのかも知れません。
また、海外で日本食が受け入れられるようになり、ローカライズしながら進出する外食産業は数多くありますが、「カリフォルニアロール」のような日本食の〝別解〟ともいえる存在は、そう簡単には生まれません。
本当の「地方発」に必要なのは、マーケットインではなくプロダクトアウト。そして、創造性に富んだオリジナルであること。テンブレッドの面白さは、その味だけでなく、地方発のあり方そのものを示している点にあるように思います。

