パルグループ井上隆太社長「小売りの原点を徹底」

2017/03/03 12:00 更新


 16年9月に持ち株会社体制に移行し、社名を変更したパルグループホールディングス。17年はEC拡大とともに、小売りの原点を重視し、実店舗での接客力や現場力に磨きをかける。消費の変化に対応し、お客の利便性を追求するなかで、新たな販路の開拓も進める。

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“ブランド価値を磨くことが大事”

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■変化に応じた販路作り■

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 ――16年を振り返ると。

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 厳しい年でした。若年層をはじめとするターゲットの購買行動は変わり続けています。服への出費が減り、服がどこでも買える環境になったことで、店へ来る理由は弱まっています。少子高齢化が進む半面、全体の売り場面積は拡大基調で、1店当たりの売り上げは今後も伸ばしにくくなるでしょう。

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 いい商品の提案は必須ですが、これからは変化に対応した販路も築かなければなりません。それがECだけでは限界が来ます。キーワードはお客の利便性をどこまで追求し、実現していけるかです。オムニチャネル推進も一つの方法ですが、それ以外の新しいことも社内で議論している最中です。

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 ――新MD習得や生産プラットフォームの構築は。

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 ブランドによって成果の出方は異なりますが、着実にMD改革は進んでいます。第3四半期の粗利益率の改善はMD改革、そして生産プラットフォームの効果が出たものです。16年秋冬から原価率を高め、値頃感のある戦略商品を本格投入しましたが、反応はいい。現在は約10ブランドが対象ですが、今後も無理はせずに効果が出る部分から増やしていきます。

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 パルにはコストパフォーマンスを生かすブランドだけでなく、ファッション感度を重視するブランドもあります。二極化が進む中、中間ゾーンに位置する当社としては、ブランド価値を磨くことが大事になっています。

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 ――9月に持ち株会社へ移行した効果は。

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 現場の意思決定のスピードアップは進んでいます。業種や業態にこだわらず、新規事業にも挑戦しやすくなりました。今後、事業会社が増えた場合に備え、役員に経営者としての意識を高めてもらうねらいもあります。パル以外のグループ会社すべての経営状況も以前より横並びで評価しやすくなりました。

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インタビュー用
井上隆太社長
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“17年度は100億円が目標”

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■良い施設への出店優先

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 ――17年に重視するのは。

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 ECは着実に伸ばしたい。17年度は100億円が目標です。他社に比べてECは後発でしたが、伸びしろは大きいととらえています。実店舗は、接客力や店頭でつかんだ情報を次へと生かしていく現場力を強みにしていますが、これをさらに徹底します。お客と会話し、この人から買いたい、というふうに魅力を感じてもらう小売りの原点がとても重要な時代です。あらゆる方法で磨きをかけます。

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 ――出店方針や人材獲得については。

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 出店はブランドそれぞれの状況を見ながらの判断になります。今は特に厳しい時代で、全体の出店数を減らしてでも良い商業施設に出たい状況です。出店数は16年より増えることはないのかもしれません。人材獲得については、会社としていろいろな保障も考える必要があります。18年2月期から地域正社員制度の導入を検討中です。

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 ――新ブランドの計画は。

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 春にルミネと共同開発のレディス「シーナリー」、秋にはレディス「ボンバザール」を立ち上げます。雑貨は新ブランドの予定はありませんが、事業を譲り受けた低価格雑貨「アソコ」の検証がほぼ終わり、出店に向けた動きを進めます。300円均一の雑貨「スリーコインズ」で培ったビジネスモデルと、アソコのキャラクター性との相乗効果も期待できるようになり、両ブランドを掛け合わせた形で出店する可能性もあります。

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パルグループの過去5年間の業績と16年度予想

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