毛紡績大手のトーア紡コーポレーションと大阪大学は、共同でメリノウール生地のスマートウェアを開発、冒険家の荻田泰永さんらの協力で北極冒険における体温や心拍など生体データ計測に成功した。トーア紡は今後事業化を進め、登山者の見守りサービスやウェルネス事業などに活用していく方針だ。
大阪大学大学院基礎工学研究科の清野健教授らの研究グループとの共同によるもので、ウールを使用したスマートウェアは「世界で初めて」(清野教授)だという。ウールは吸放湿性が高く、速乾性や消臭性もある。繊維内部に水分を吸収することで吸湿発熱効果も発揮、繊維表面は水をはじくことから汗冷え、低体温症などを防ぐ効果があり、登山など極地における衣料として使われてきた。
今回作成したスマートウェアは18ミクロンのメリノウールを原料とした梳毛ジャージー。1カ月間の連続着用に耐える耐久性やストレッチ性のある糸に仕上げたほか、編み立て、縫製段階でも肌との密着性を高める工夫を凝らした。心拍計測用電極には東洋紡の「COCOMI」を使用、生体データの計測センサにはユニオンツールの「myBeat」を用いた。
