古着店と自社ブランドを運営するル・タナゴコロータス(神戸市)は既存の古着店をベースに、デザイナーの中村善幸代表が手掛けるユニセックス向けブランド「ネニュファール」のファンづくりに力を入れる。将来的な成長に向け、今年は東京での常設店開設を目指す。
(大竹清臣)
一点物に負けない
同社は、13年3月に自身のブランドを販売する場を作る目的で、神戸に古着店「タナゴコロータス」を立ち上げた。パリから仕入れる欧州のブランド古着を軸に品揃えし、服好きから支持されている。同店が入居する古いビル内は、古着店の入れ替わりも多く、現在は最古参になっているという。同じ4階の隣の物件も借り、アトリエとして活用している。
23年3月からは心斎橋パルコに常設店を開設し、インバウンド(訪日外国人)需要を取り込み、売り上げが安定している。
ネニュファールは、古着店のオリジナルブランドとして一点物の古着が並ぶ中でも個性が埋没しないようにデザイン力を磨いてきた。商品のクオリティーをさらに上げるため、合同展に出展して国内の産地企業や加工業者などとのネットワークを広げ、オリジナル生地を開発するなど、独自性を追求する。
22年春夏からはパリの有名な刺繍作家、オレリーマティゴ氏と協業した商品も提案し続けている。24年春夏はアニメや映画との協業品も出す予定だ。
東京で再び常設店を
19年12月には東京・原宿にタナゴコロータスの路面店を開設した。ただ、コロナ下で計画通り進まず、東京などの商業施設内の期間限定店で知名度向上を目指した。22年春から渋谷パルコでの長期間の限定店を始めたが、23年秋で終了し、現在は西武池袋本店で期間限定店を開設している。
「本来なら10周年を迎えた昨年に、楽天ファッションウィーク東京に参加しランウェーショーをすることを目標にしてきたが、コロナ禍で計画が遅れた分、今年は足元をしっかり固めたい」(中村代表)との考え。自社の古着店や卸先での先行受注会などを開き、既存顧客を大切にしながら、新たなファン獲得に向け、秋以降に東京でのタナゴコロータスの常設店開設も計画する。