アジアンアメリカン財団 在米アジア系支援に5年で1億2500万ドル寄付

2021/05/13 06:27 更新


 【ニューヨーク=杉本佳子通信員】アメリカでアジア系への憎悪犯罪が急増している中、非営利団体のアジアンアメリカン財団(TAAF)が、今後5年間で1億2500万ドルをAAPI(アジア系アメリカ人と環太平洋諸島)コミュニティーに寄付すると発表した。AAPIへの寄付としては過去最大規模。TAAFの役員会にはナイキ、アマゾン、ウォルマート、エッツィーのほか、NBA、バンクオブアメリカ、コカ・コーラ、JPモルガンチェース&カンパニー、モルガンスタンレーなども名を連ねている。

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 TAAFは、AAPIコミュニティーへの投資が長いこと欠けていた状況を改善すべく発足した。TAAFによると、今までAAPIコミュニティーが慈善団体から受け取ってきた金額は全体の0.5%以下という。TAAFは今回の資金調達を、①アジア系への憎悪犯罪問題解決に長期的に取り組む組織のサポート②アジア系への憎悪犯罪を把握するデータ収集と調査③アメリカの歴史の中でアジア系の歴史を学校で教えたり、アート、メディア、映画などを通じてAAPIの経験とアメリカ史における貢献を伝えたりする啓発活動の3分野に費やし、アジア系への憎悪犯罪撲滅に向けてより効果的に動くことを狙う。

 TAAFは最近発足した団体で、5月4日にオンラインで開催された発足記念イベントではビル・クリントン、ジョージ・W・ブッシュ、バラク・オバマの元大統領たちがあいさつした。

 一方、アメリカでは、5月は「アジアン・アメリカン&環太平洋諸島ヘリテージ(継承・伝統・遺産などの意)月間」と位置付けられた。アジア系の文化に触れる機会をつくることで、アジア系への攻撃が減ることが望まれている。カリフォルニア州立大学にある「憎悪と過激主義研究センター」の調査によると、今年第1四半期に警察に報告されたアジア系への憎悪犯罪件数は昨年同期と比べて、全米で164%増えた。特に増えているのはニューヨーク市で、223%増。サンフランシスコ140%増、ロサンゼルス80%増、ボストン60%増と大都市で増加が目立つ。「Stop Asian Hate」のハッシュタグをつけてクラウドファンディングのゴーファンド・ミーで呼びかけられた「AAPIコミュニティー基金」は現在、600万ドル以上を集め、大きなうねりになっている。ユーチューブ50万ドル、エアビーアンドビー15万ドルなど、企業からの寄付も多い。



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