スタイレム瀧定大阪は、海外での生地販売を加速するために拠点を増やした。昨年は9月にイタリア・ミラノでスタイレムイタリアのショールームを、11月に中国・杭州で上海法人の分公司としてオフィス兼ショールームを設立した。
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今期(25年1月期)の生地輸出、海外事業は、円安効果もあり伸びる見通し。為替リスクを減らすためにも、〝外・外〟も含めドルベースの商売を増やす狙いだ。
欧州ではメゾン向けの販売拡大を狙い、23年に仏・パリにショールームを作ったばかり。イタリアでは従来の現地での生地作りに加え、販売も伸ばそうと日本人営業を増やし新規顧客を開拓する。今期の欧州向け生地販売は「国によって状況はまだら模様だが何とか踏ん張っている」(瀧隆太社長)と増える見通し。とくにイタリア向けは「悪くない。増員しショールームも作ったので、さらに伸ばす」という。
中国事業は外部環境が厳しい中、増収増益で成長が続く。「強い商売を作る、と先手を打ってくれている。新規開拓が進んでいる」と評価する。2級都市への販売強化など、開拓余地はまだあると見て拠点を増やす。21年に設置した北京とアモイに加え、杭州に進出した。「杭州は大手アパレルの集積地。従来は上海からの営業だったが拠点を作り、深掘りする」。ファッション用途に加え、スポーツ向けなど機能素材を充実し、さらに伸ばす。
海外で伸び率が一番大きいのが米国向けだ。22年から本格稼働したスタイレムUSA(ニューヨーク)の設立効果が大きく、「出張ベースではアプローチしきれていなかった新規顧客が開拓できている」という。
課題は生産リードタイムの長期化と品質管理。産地の有力企業との連携強化や、検反の仕組み作り、在庫を増やしQR対応を強化するなど、様々な切り口で供給体制の整備・見直しを進める。