「ステュディオス」15周年、接客の文化で成長 国内外の新規出店に意欲

2022/09/02 11:00 更新


原宿本店は15周年に合わせて3回目の改装をした

 トウキョウベースのセレクト業態「ステュディオス」がデビュー15周年を迎えた。それに伴い、原宿本店を改装。創業時からの「客とのコミュニケーションを大事にする文化」を内装に反映させた。20年目に向けては、近隣に構えるセカンド、サードに続く新規2店を出したい考えで、来年には米ニューヨークへの進出も控える。

(関麻生衣)

 原宿本店の改装は今回で3回目。5年目、10年目と節目に行ってきたが「どれも前向きなもの。売り上げが伸びている時に、お客様に届けたいものをちゃんと届けるための内装にしようというのが節目にかみ合っている」(熊沢俊哉ステュディオス事業部メンズ部部長兼MD兼営業マネージャー)。原宿本店の年商は「ずっと右肩上がり」で、4億円を目指している。

 同店の改装でこれまでと違う点は、現場の声を生かしたこと。この間、谷正人代表取締役CEO(最高経営責任者)は新規事業の創出に集中し、現場については一つの事業を集中して見られる事業部長への権限移譲が進んでいるという。

 そうしたなか、原宿本店では今回、店舗の四つの角に一つずつ試着室を設けたのが大きな特徴だ。同店の顧客比率は45%と高く、客との会話を丁寧にしたいという販売員からの要望に応えたもの。試着室が個室のように分けられていれば、他の客に会話を聞かれる心配がなく、安心できるとの配慮だ。

 熊沢さんは15年を振り返り、「接客の文化が血肉となり、スタッフにも伝わっている。それが、服を大事に(お客様に提案)してくれるとのメーカーの信頼にもなっている」と話す。創業時からの成長を支えてきた「シャリーフ」、原宿本店の売り上げトップで在庫のほとんどをプロパーで消化する「クルニ」など、ともに育ってきた国内ブランドで客に支持されているのも他にない優位性と自負する。

 今後5年以内には原宿本店の周辺に2店舗の新規出店を狙う。それぞれテイストの異なる品揃えで、ステュディオスの世界を一区画に凝縮する。場合によっては「好調なブランドを一つきり出してもいいかもしれない」と熊沢さん。直営店を出したくても販売する人手が足りないブランドの課題を、同社が財産とする人で補う発想だ。

 来年にはニューヨークへの進出も計画している。「ファッショントレンドの最先端の都市で世界で通用する業態を体現したい」と意気込む。



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