NPO法人(特定非営利活動法人)のディアミーは、フィリピンで貧困地区の子供たちをモデルに起用したファッションショーを開催している。立ち上げた西側愛弓さんが代表を務め、サポートしているが、活動の主体は全国の大学生だ。ファッションを通じて、教育・社会課題の解決や、子供たちの夢をかなえることを目指している。
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学生だった西側さんが、関西の大学生を中心に15年に立ち上げた。当時から続けているのはマニラで開催するファッションショーだ。日本では協賛企業と組んだイベントやアップサイクル商品の販売も行っている。
運営から資金集めも
ショーは学生が主体となって運営する。年に2回フィリピンを訪れ、会場の設営やモデルの募集、衣装のフィッティングなどを行う。衣装は古着や企業から提供された衣類をアップサイクルしたり、他大学の服飾学生が作ったものを使用する。必要な資金を調達するため、クラウドファンディングなども行っている。
コロナ下でフィリピンに渡航できない時期もあったが、22年6月に再開した。24年2月には10回目となるショーを開催し、過去最多の71人のモデルが集まった。最近では現地の子供たちからの認知も広がっていると感じている。
全国の学生から関心
ディアミーを立ち上げた当初は5、6人の規模だったが、現在は卒業生を含め70人ほどで活動している。SNSでの発信を見て、興味を示す学生からの問い合わせも増えている。「23年春は約150人から応募があり、面談などで人数を絞るほどだった」と西側さんはいう。オンライン会議を使って、関東圏や留学中の学生も参加している。
所属する学生は、社会問題だけでなく、ファッションへの関心も高い。23年度に学生代表を務めた田村美有さんは「元々、貧困や社会問題に興味があったが、好きなファッションという切り口で関われることが魅力だった」と話す。
24年度に代表を務める清間有咲さんは「フィリピンの子供たちは積極的で、毎年私たちが来るのを楽しみにしてくれている子もいる。ショーの後の喜ぶ顔が何よりもやりがい」と話す。
教育や雇用機会を創出するため、23年春にはマニラにデザインや縫製技術を学べるファッションスクールも開校した。今後もファッションを通じて「生まれた環境に左右されず、誰もが夢を描き努力できる」環境を作ることを目標に活動する。
(相神優波)