【店長に役立つページ】《店長になった理由、店長を続ける理由は?》
働き方が多様化し、販売員としてキャリアをスタートすると、店長を志さずとも様々な道が広がるようになった。多忙なイメージや責任の大きいイメージに気後れし、店長になりたくないという人もいる。店長として前向きに働く4人に、店長だからこそ感じられることや働くうえでどんなことを心掛けているかを聞いた。
「プールスタジオアリヴィエ」新宿小田急店 若名妙さん
働く環境や仕事の不安を解消
「今後のキャリアについて考えていた時に店長にどうかの声がかかって、一つのチャンスとして成長したいと思い決断した」と話す若名さん。
店長になったばかりの頃は漠然と不安を抱えていた。働いていく中で店はチームプレーだと考えるようになり、不安が解消した。店長だからといって、全てが完璧に出来るわけではない。一人ひとりに得意不得意があるからこそ、自分より他のスタッフに適正があると感じた仕事は任せることもある。
店長を目指す人が多くない理由は自信のなさや不安だけでなく、働く環境や自分の時間を大切にしたいと考える人が多いことだと考えている。環境を整え、仕事への理解を深めて不安を解消することで「店長になりたいと思ってもらえたら」と話す。
環境面では、休みを全員がきちんと取るように声を掛け、長期旅行の希望があれば調整する。接客以外で残業をせずに済むよう、効率よく業務を回すことも徹底している。若名さん自身もリフレッシュするために休みを取って、仕事と日常のメリハリをつけている。初めの頃は休み中に店やスタッフの心配をすることもあったが、役割を任せることで心配も減っていった。
仕事面では、新人でもベテランでもきちんと理解出来るように一つひとつの仕事の意図を言葉で伝えている。どうしてこの場所にこの商品を陳列するのか、今日はいくら売り上げが必要なのかなど細かいことも伝えることで、仕事への理解も深まる。
楽しそうに働いていなければ、店長がやりがいを感じていてもスタッフが「自分も店長になりたい」と思ってくれることはない。「最初から店長の仕事を出来る人はいない、経験を積み重ねていくことで出来るようになっていく」と話す。
「ライトオン」グランデュオ蒲田店 川口真弥さん
自身の理想が形にできる
大学卒業後の06年に入社、1年半後に店長に昇格した。「ファッションが好き」で就職したものの、アパレル業界で働いた経験はなかった。しかしながら、「働くからには上を」と入社直後から店長を目指し、仕事に励んだ。
店長という職が、憧れから具体的な目標に変わったのは、入社してしばらく経ってから。「お客様のために」をモットーに働くなか、上から任される仕事のなかには「本当にお客様の役に立っているのか」と疑問を抱くこともあった。自身の理想の店を作るため、より強く店長を志すようになった。
アパレル業界が未経験だった分、業務時間以外での勉強にも精を出した。販売や売り場づくりに関する雑誌を読んだり、インターネットで情報収集をしたほか、休みの日に商業施設に足を運び、他店の商品やVMD、販促物などを見て回った。これらの経験が「現在の仕事にも生きている」。
店長としてやりがいを感じるのは、「お客様からの支持が明確に表れる、売り上げが伸びた時」だ。とはいえ、毎日予算を超えられるわけではない。そんな時は、現状からもう少し努力すれば達成できそうな、身近な目標を再設定し、店全体の士気が下がらないようにしている。
若い人材が前向きに店長を志すためにも、「楽しそうに働く姿を見せること」「業務内容を公にすること」を心掛ける。「店長になりたくないスタッフは、失敗した時の責任の大きさにデメリットを感じているため、成功した時のメリットの方を強く伝える」ようにもしている。
現在は地区の統括店長を目指している。館のロールプレイング大会に積極的に参加して接客力を磨くとともに、社外の人とのコミュニケーションを密に取るようにもしている。
(繊研新聞本紙19年11月25日付)