相鉄グループ(横浜市)は、「横浜駅西口大改造構想」を発表した。88年開業の映画館中心の複合ビル「相鉄ムービル」の建て替え工事を20年代後半に開始、40年代までに駅前広場などの公共空間の整備を含め、横浜市などと連携して西口周辺の大型再開発を行う。事業規模と事業費は未定だが、高島屋横浜店と73年に開業したジョイナスが入る新相鉄ビルの建て替えも「視野に入れる」(左藤誠相鉄アーバンクリエイツ社長)。ハイクラスのオフィスビルやエンターテインメント、スポーツ施設など「西口に足りない」機能を充実しながら、「商業店舗の面積も拡大する」(滝澤秀之相鉄ホールディングス社長)方針だ。
【関連記事】相鉄グループ、東急 横浜駅前に大型複合施設「ザ・ヨコハマ・フロント」を6月20日開業
相鉄ムービルは隣接する2物件と一体で建て替える。それ以外の開発は「今後、横浜市と連携し、地権者などと話し合いながら、検討・具体化する」。
構想で目指す新たな街作りのコンセプトを「西口の強み」であるターミナル性と商業の集積による繁華性にウェルビーイングの機能を加えた「ウェルクロッシング」とする。高水準オフィスやエンタメ、スポーツのほか、教育・研究、事業共創、文化発信などの機能を充実する。相鉄ムービルは「全体のコンセプトに沿った多機能型施設」(左藤社長)にする。商業店舗は「西口でかなりの集積があるとはいえ、東京都心と比べるとまだ少ない。新たな機能との相乗効果も見据えながら、規模は拡大する」(滝澤社長)という。行政と連携し、狭いとされる駅前の歩行者空間を広げ、親水空間化による河川の利活用など公共機能も整備する。
同社は52年に西口周辺の土地を取得し、56年開業の高島屋ストア(当時)と横浜名品街(同)を皮切りに、98年に開業した横浜ベイシェラトンホテル&タワーズなど多くの施設を開発。今年6月20日には東急と共同で、駅きた西口前に店舗、住宅、ホテル、会員制ワーキングラウンジやホール・スタジオなどが入る大型複合施設「ザ・ヨコハマ・フロント」を開業した。
大改造構想を立てたのは「西口の開発開始から約70年が経過し、安全性や機能性の面からも再開発の必要性が高まっていることに加え、渋谷など東京都心で次世代型の街作りが進み、都市間競争が激化している」のが背景。同社がこの間進めてきた相鉄線沿線開発の6大プロジェクトが7月にゆめが丘駅前に開業したSC、ゆめが丘ソラトスで完了し、「企業として大きな節目となり、さらなる飛躍に向かう時期に入った」ことから、大型開発を進めることにした。「東京にはない個性のある街作りが不可欠」とし、東口やみなとみらい21地区など横浜の他エリアとの連携も強化する。