ソニー 冷・温の調節できるウェアラブルデバイス開発

2019/07/22 11:20 更新


 ソニーは、暑い時に体を冷やし、寒い時に体を温める機能を備えた衣服型のウェアラブルデバイス「レオンポケット」を開発し、事業化に向けて動き出した。22日から、同社が運営するクラウドファンディング(CF)のプラットフォーム「ファーストフライト」でプロジェクトを始めた。目標額6600万円、数量で4000セット強を目指す。ビジネスパーソンを主な対象に「ソニーの技術力で快適性を提供するとともに、環境負荷の低減にも貢献したい」という。

 レオンポケットは、同社が開発したウェアラブルサーモデバイスと、デバイスを搭載するためのポケットを背面上部に設けた専用インナーウェア、デバイス操作用のスマートフォンアプリケーションを組み合わせた製品・サービス。ウェアは東レインターナショナルが協力し、極細ポリエステル・ポリウレタン混で吸水速乾性、伸縮性を備える生地を使って作った。

 デバイスにはモバイル機器の設計で蓄積してきた熱設計技術を駆使して新たに開発した半導体素子を組み込んだ。デバイスは衣服の生地で覆われた状態のため、効率良く放熱して性能を安定させることが難しかったという。「シミュレーションを繰り返し、人の皮膚を冷やしたり、温めたりするための放熱機構の設計」に成功した。

 デバイスの温度はアプリを使いブルートゥースで操作し、冷・温のいずれも5段階で調整できる。センサーで温度や行動を感知して適切な温度に調整する機能も備える。連続稼働時間は90分。「まだ改良中で、個人差がある」とした上で、同社が行った着用実験では、室温30度の安静状態でデバイスの温度を5段階の5に調整して下げた場合、5分経過後にデバイスが皮膚に接触した部分の体表面温度が13度下がった。

 CFで設けたプランは、デバイスとインナーウェア5枚セット(税込み1万9030円)、デバイスとインナーウェア3枚セット(1万7380円)、デバイスとインナーウェア1枚セット(1万4080円)などを揃えた。CFの支援者からの声を生かし、製品開発に磨きをかけて量産を目指す。今後、独自の商品で家電量販店などへ販路を広げていきたい考え。アパレル関連企業との協業を通じた商品開発も視野に入れている。

背面上部のポケットにサーモデバイスを格納する仕様。皮膚と接触した部分の温度を調整し、冷やしたり、温めたりする
サーモデバイスを格納した状態
アプリの操作画面イメージ


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