1トップから2トップ体制へ――スノーピークは9月30日、スターバックスコーヒージャパン前代表取締役CEO(最高経営責任者)の水口貴文氏を10月1日付で社長に起用すると発表した。これまで社長執行役員を務めてきた山井太氏は代表権を持った会長に就く。創業家以外の人物が社長となるのは初。この間進めてきた改革にめどが付いたことから新体制で再成長に挑む。
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同社は24年、投資ファンドであるベインキャピタルの支援を受け、MBO(経営陣による企業買収)で株式を非公開化した。その後、不採算店の閉鎖や在庫削減、減資といった経営改革を進め、「全てのうみを出し切ることで筋肉質の会社に変わり、再成長の準備を整えた」(山井氏)という。
水口氏は58歳。米系コンサルタント会社などを経てLVJグループ(現ルイ・ヴィトンジャパン)に入社。グループ会社のプレジデントやLVJグループの取締役などを歴任したのち、14年にスタバジャパンに入社した。CEOに就いた16年からは毎年100店ペースで店舗を増やし、日本での成長を導いた。
山井氏と水口氏は17年に知り合い、互いの経営観などが一致して意気投合。22年3月からはスノーピークの社外取締役を務めてきた。ブランディングや仕組み作りにたけた水口氏との「バディー」(相棒)体制でスノーピークらしさを失わずに事業拡張を目指す。
今後はキャンプ用品販売を軸としつつ海外事業やアパレル、食、フライフィッシングなどを積極展開する。米国ではクリーンかつおしゃれで、高級感とホスピタリティーあふれるキャンプ場が支持されており、海外は近隣に直営店を出して市場を創造する手法が有効とみる。
25年12月期売上高は非上場化前とほぼ同じ約250億円を見込む。今後全体では年率10%ペースでの増収を目指すが、海外は15%での成長を計画。「近い将来、再上場も目指す」(山井氏)という。