アジアのブランドを集めたファッション越境EC「60%」(シックスティーパーセント)が成長している。運営するシックスティーパーセント(東京)は、クロネコイノベーションファンドをリード投資家とした第三者割当増資と金融機関からのデットファイナンスを合わせて4億6000万円の資金を調達した。これにより累計調達金額は約6億5000万円。国内外に向けた〝グローバルマーケットプレイス〟としての機能を拡張する。
(北川民夫)
60%は、アジアの10カ国・地域から約1500以上のブランドが出店する(23年12月末時点)。主にローカル、インディーズブランドが中心。日本では見つけることの難しい商品ラインナップに関心を持つZ世代が多く集まり、10~20代が利用者の約9割を占める。
前回の資金調達ラウンド(21年4月)から、月間のGMV(流通取引総額)は5倍以上になった。ブランド数も3倍以上で、商品数は10万点を突破した。真部大河社長兼CEO(最高経営責任者)は「国内最大級のファッション越境ECとなった。今回の調達資金を活用し、国内のさらなる拡大と海外展開を本格化する」としている。
今回、アーティストで経営者でもあるバーバル氏が個人投資家の一人として参画した。アドバイザーとして同社の掲げる「アジアのファッションを世界のメインストリームへ」の実現を目指し、ブランディングや事業運営をサポートする体制。
同氏は「『お薦めのアジアのファッションブランドは』と聞かれてもパッと思い浮かばない人がほとんど。その中で60%は多くのブランドが集結するハブであるところに感銘を受けた。アジアのデザイナーに焦点を当てるポータル(サイト)として世界に向けて可視性を高めると確信し、私も手伝いたい」と話す。
シックスティーパーセントは日本市場を中心に販売してきたが、3月にはグローバル版サイト(英語版)をリリースする。今後は国内外の利用者向けグローバルマーケットプレイスとして機能を拡張する。
越境ECは、物流や言語、決済、カスタマーサービスなど業務が多くて煩雑だ。一企業やブランド単独の運営にはハードルが高くコストもかかる。「60%はこれらの要素を管理する独自の〝越境ECソリューション〟を構築しており、ブランドがコストをかけずに、契約から最短で3日後には世界中に商品を販売できる体制を整える」として、今後もブランド数や利用可能国の拡大で「グローバル展開を加速する」としている。