様々な業種の中堅・中小企業がスポーツを切り口に集まる合同展「SIMEx」(シーメックス)は、大阪市旭区に合同の展示・販売、商談やシェアオフィスの場となる「SIMExコンセプトショップ」(仮称)を4月にオープンする。6月に開催する合同展会場として活用を予定するほか、個別企業がBtoB(企業間取引)、BtoC(企業対消費者取引)の場としても利用していく。中小企業が業種・地域を超えて、こうした事業を共同運営するのは珍しい。
(山田太志)
同展は、奈良に本拠を置く昇華転写プリントのアクラムおよび野球グラブのアトムズが発案し、19年1月に参加企業5社で合同展を開催したのが始まり。19年6月は10社、20年1月は16社と規模を広げてきた。素材、加工、縫製、製品の自社販売やOEM(相手先ブランドによる生産)企業が多彩に集うユニークな展示会だ。ただ、新型コロナウイルス感染拡大の影響で20年6月展は中止となり、17社が参加した今年1月展はオンライン形式で実施。今後も大型展示会の開催が不透明なことから、新しい展示会のあり方や開催場所を模索していた。
中小企業が合同で事業を行う場合、コストや運営が大きな課題となる。経済産業省の「共同・協業販路開拓支援補助金」に応募していたが、1月25日付で採択され、公的補助が得られた。
出店場所は、京阪電鉄・森小路駅から徒歩2分のビル1階。展示会メンバーの1社であるマーキングの宝来社(東京)大阪支店の旧物流センター(約200平方メートル)をタイミング良く活用できた。宝来社の事務所は引き続き1画に同居するため、一般消費者など不意の来客があっても宝来社スタッフが対応できる。本格的な商談に進む場合は、オンラインで各社につなぐことを想定している。
補助金制度の関係からアクラムがプロジェクトの受け皿となり、運営は参加企業が出資する新たな法人、SIMEx合同会社が行う計画。詳細は未定だが、参加企業が2メートル×2メートルの展示・販売コーナーを設けた場合で月額1万5000円程度の家賃を見込む。
既にアクラム、アトムズ、靴下の昌和莫大小(奈良県広陵町)、レギンスのK-in(京都府宇治市)などの参画が内定、その他メンバーも検討中だが前向きの声も多い。設計図やイメージは完成しており、2月から施工に入る。6月のSIMEx展の開催を予定するが、年1回は東西で従来型の総合展を開くことも検討中だ。
アクラムの勝谷仁彦社長は、「中小企業も情報発信、新規販路開拓、自社ブランドやBtoCの強化が避けて通れない時代。ローコスト運営を念頭に置いた今回のプロジェクトを活用してもらえれば」と言う。東京でも同様のコンセプトショップ作りを進めており、将来的には東北、九州などにも設けたい考えだ。