小田急線の地下化、京王井の頭線の高架化を機に再開発された下北沢が注目されている。演劇、古着に音楽と、多様な顔を持つ下北。その魅力を支える個人や企業を巻き込んでの共生・支援型の施設やプロジェクトが集積し、子供連れや新世代のワーカーなど、新たな来街者が増加中だ。
従来型開発から転換
昨年5月に全面開業した「下北線路街」は、小田急線の東北沢駅から世田谷代田駅まで全長約1.7キロメートルの線路跡地を開発して生まれた。緑道沿いに、商業施設やカフェ、温泉旅館など13施設が点在する。
18年時と、開業後でかつコロナ禍の影響を受けた22年度を比較すると、小田急線全線の定期外輸送人員が1日平均17万人減(10.7%減)だったのに対し、下北沢駅は1200人増えた(2.1%増)。「線路街の影響が大きい」と小田急電鉄まちづくり事業本部エリア事業創造部の向井隆昭課長代理は見る。
開発の前提として、下北沢駅前以外のエリアは通行量も少なく、「大手チェーン企業からの出店は望めなそうだ」との背景があった。大箱を作ってリーシングする従来型の考え方から転換しようと模索、地場のニーズをヒアリングするため、17年に世田谷区主体の地域の会議体に初参加した。以後、商店街や地元のキーマンともコンタクトを取り、歴史を知り、街を歩いて知識を深めた。
こうして固まったコンセプトが「BE YOU.シモキタらしく。ジブンらしく。」。今ある魅力を引き出し、街を支援する開発につなげていった。
街の課題解決に
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