「シブヤ109ラボ所長の#オンライン飲み会の実態」

2020/09/14 06:29 更新


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 新型コロナウイルス感染症拡大による外出自粛でトレンドとなった「オンライン飲み」を、若者はどのように楽しんでいたのでしょうか。20~24歳の男女400人を対象にウェブ調査を実施しました。

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あくまで一時的に

 自粛期間中のオンライン飲み会の参加頻度を聞いてみたところ、45.1%が「オンライン飲み会はしていない」と回答しており、経験者に関しても月に1回程度の開催が最も多く (14.7%)、頻繁に開催している様子は見られませんでした。

 グループインタビューで詳しく聞くと、オンライン飲み会の相手は特に仲の良い友人2~3人など「特定かつ少人数」で開催している人が多く、「気心が知れていて、用事がなくても誘いやすい友達とだけオンライン飲み会をした」「オンラインだと話すタイミングがかぶらないように気を使ったりするので、気を遣わないでいられる友達でないとためらいがある」という声が多く聞かれます。

 参加する際の身だしなみについても、気を使わない相手との対話ということもあり、女子は部屋着にほぼすっぴんに近いメイク、男子もワックスなどは付けずに寝癖を直すくらいと、かなり「素の自分」に近いスタイルで参加していることが多いようです。

 今後の自粛期間明けの飲酒スタイルについても「お店で飲みたい」という意向が半数以上を占め、「オンラインで飲みたい」と回答したのは10%を切る結果となり、グループインタビューでも「オンライン飲みはオフライン飲みの代わりにやっているので、お店で飲めるようになるのであればそちらに戻りたい」「自宅だとおいしいおつまみが食べられないからお店に行きたい」という回答が多く聞かれました。ここからも、オンライン飲み会はあくまでもオフライン飲み会の一時的な代替であり、非日常の飲み方であることが分かります。


雰囲気を仲間と共有

 この背景には、若者にとってのお酒の役割が関係しています。アラウンド20(15~24歳の男女)は「時間や空間を充実したものにし、友達と共有すること」を重視しており、またその中でお酒は「関係がない人と打ち解けるためのきっかけ」というよりも、「気心知れた友達とだけで楽しむ時間」のシーンで登場しています。お酒を飲むことよりも、その場の雰囲気を仲間と共有することに価値を感じているため、オンライン飲みでは物足りなさを感じるようです。

 今回の調査で、トレンドになっているオンライン飲みの意外な実態が分かりましたが、これに限らずコロナ禍で生まれた新たな行動について、背景にある事実を読み解き、一過性のトレンドなのか、今後も定着するものなのかをしっかりと見極めることが非常に重要です。

●長田麻衣(おさだ・まい)
シブヤ109ラボ所長。総合マーケティング会社で、主に化粧品・食品・玩具メーカーの商品開発・ブランディング・ターゲット設定のための調査やPRサポートを経て現職。毎月200人の若者と接する毎日を過ごしている。好きなものは、うどん、カラオケ、ドライブ。今年の目標は、東京以外の都道府県で若者セミナーに登壇すること。若者マーケターとしてTV出演も果たしたい!

(繊研新聞本紙20年8月12日付)



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