シェアサイクルで賢く移動 通勤や買い物、旅行先でも

2019/08/10 06:30 更新


【センケンコミュニティー】シェアサイクルで賢く移動 通勤や買い物、旅行先でも

 センケンコミュニティーの8月のテーマは「自転車」。東京など都市部を中心に急速に存在感を高めているのがシェアサイクルです。シェアリングやエコといった観点でも注目されています。国内では複数の企業がシェアサイクルサービスに参入していますが、その一つ、赤い車体がトレードマークの電動アシスト付き自転車を広めているNTTドコモグループのドコモ・バイクシェア(東京)に、サービスの現状を聞きました。

 ドコモ・バイクシェアによると、サービス開始は11年4月。急速に成長し、18年度の利用回数は全国で810万回(直営のみ)にのぼる。成長の背景には、サービスの性質として「ポート数や利用者が増えるほど利便性が上がることがあります」と同社。6月末時点で、全国29エリア(直営エリア、システム提供エリア)、自転車約1万1600台、サイクルポート約1310カ所、会員約59万人(直営)という規模になっている。自治体との共同事業でもある。

会員増え便利に

 シェアサイクルの利用方法は、事前に会員登録をしておけば後はシンプルだ。借りたい自転車の操作パネルにICカードをかざすかパスコードを入力すると、解錠できる仕組み。専用アプリを使えば、利用前に地図上のどこのポートに何台あるかを調べることもできる。エリア内であれば目的地の好きなポートに返却できるのが特徴だ。クレジットカードやドコモ払いの決済とひも付いているため、放置や盗難のリスクは低いという。

ICカードをかざすか、パスコード入力で解錠できる仕組み

 直営エリアのなかでも東京の千代田、中央、港、新宿、文京、江東、品川、目黒、大田、渋谷の10区は広域連携しており、区をまたがって乗り入れ可能だ。例えば有楽町(千代田区)で借りて、お台場(港区など)で返す使い方も。加えて4月からは、直営の各エリアおよび札幌でID連携を開始。例えば普段は東京で乗っている人が出張や観光で訪れた大阪、広島、仙台などでも、同一IDのまま1回会員として利用できるようになった。

 気になる利用料金は、東京・中央区の場合で30分150円。このため、30分以内で返却する人が多い。月額会員や一日パスもある。

アプリを開くと、繊研新聞社の東京本社オフィス周辺にもたくさんのポートが見つかる

 利用者層の中心は30~40代男性。通勤で使うケースが多いが、主婦層など裾野は広がっている。ちなみに記者もシェアサイクルをよく利用しているが、電動アシストなのでとにかく楽だ。単に移動手段としてだけでなく、例えば大きな橋を渡って風を感じ、隅田川やスカイツリーなど東京の景色を楽しみながらサイクリングするのも楽しい。駅から離れていて徒歩では行かない場所に行動範囲が広がり、おいしそうな飲食店を発見することもある。同社では、20年を見据えて外国人観光客が利用しやすい仕組み作りも進めている。

電動アシスト付きなので坂の多いエリアも移動しやすい

課題は電池残量

 「サービスの課題は再配置とバッテリー」だそうだ。利用者の集中するポートでは、昼間は何十台とあった自転車が、夜の帰宅時間には0台になってしまうこともある。オフィスの多い港区や千代田区はその傾向が強い。江東区の豊洲駅周辺も、地元の人の足としてニーズが非常に高い。偏りを緩和するためトラックで自転車を回収して再配置を行っているが、さらに「ドコモのAI(人工知能)での需要予測を活用して最適化を進めていく」という。

 バッテリーなどのメンテナンス面もカギとなる。記者も、駅前のポートの最後の1台を押さえて現地に行くと、電池残量0%で〝空振り〟になった経験がある。逆に1台だけ残っている時点で嫌な予感はしていたのだが。借りる前に分かるとより利用しやすくなるだろう。一部エリアでは電池残量が確認できる別のアプリが検証されているという。

 都内のオフィス街で少し意識して辺りを見回すと、シェアサイクルに乗ったサラリーマンが意外に多いことに気がつくはず。今後サービスが拡充・進化すれば、生活者のモビリティーとそれに伴う暮らしはさらに変わっていくだろう。

サラリーマンの通勤での利用が多いという

(繊研新聞本紙19年8月2日付)



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