JR小倉駅前の大型商業施設、セントシティ(北九州市)が売り上げを伸ばしている。21年4月に名称変更も含めて、オフィスを複合する現在の形になったが、百貨店跡の多層型にあってフロアごとに集客力のあるテナントを配置、立ち上げから2年近く、立地を生かしながら若年層などの集客が進んでいる。
(田村光龍)
同施設は保有する北九州都心開発がJLLリテールマネジメントとPM(不動産の運用・管理)契約して運営されている。地下3階~地上14階のうち地下1階から上の貸し床面積は4万7556平方メートル。21年4月にインスタグラムなどの投票で1位となったセントシティに改称、「ユニクロ」などを導入するとともに、7階の一部と8、9、12階をオフィスフロアとして商業にとどまらない機能を持つ複合施設になった。
130区画の商業は、3階のユニクロのほか、地下1階の食品スーパー「ルミエール」、地上1階「無印良品」、2階「ザラ」、4階「デコホーム」など各フロアに核となる大型店を配置、それに地元発を含めたテナントを組み合わせる形に整えた。コロナ下でのリーシングとなったが、地方都市であっても新幹線が停まる駅前であったことからラインナップを揃えることにつながったと振り返る。これらが都市型のニーズを捉え直しているもので、幅広い層の来店を促しつつも、学校が多いエリアであることから「若年層が目立つ」(真覚泰臣支配人)という。
21年4月以降も機能強化を続けており、22年秋には「ギンザグローバルスタイルコンフォート」を導入、5階をエリアでは「ほかにない」メンズの集積としている。これらにより月によって上下はあるが、この間は前年同月比10~20%増の売り上げで推移している。今後も課題としている飲食に手を加えることを構想している。
オフィスフロアには「GMOインターネット」のほか、北九州市で創業した園芸用散水用品で国内シェアトップの「タカギ」などや、コワーキングスペース「アトミカ」が入っている。地域に求められる働く場を提供、館の価値を広げている。
同施設は93年に小倉そごうとして開業、その後も伊勢丹などが入っていた。19年にそれまで低層階に入居していた井筒屋のコレットが営業を終了したが、21年の大改装で複合化を含めて空床を解消し、百貨店跡を再生した。立地の利便性と規模を生かして、地域に定着しようとしている。