17年春夏 ロンドン・コレクション

2016/09/21 05:45 更新


 【ロンドン=小笠原拓郎、若月美奈通信員】17年春夏ロンドン・コレクションには若々しいムードが広がっている。ラッフルやシャーリングで動きを出したエアリーなドレススタイルとクラブキッズに目を向けた毒のあるスタイルだ。シャツやシャツから派生したアイテムが目立つ中、若手からベテランまで多くのデザイナーがギンガムチェックをキー素材に添えている。ショルダーからヘムまでアシンメトリーなデザインも多い。

アシンメトリー、ラッフル、プリーツで装飾スタイル

J.W.Anderson - Spring Summer 2017 London Fashion Week  Copyright Catwalking.com 'One Time Only' Publication Editorial Use Only
JWアンダーソン
J.W.Anderson - Spring Summer 2017 London Fashion Week  Copyright Catwalking.com 'One Time Only' Publication Editorial Use Only
JWアンダーソン
J.W.Anderson - Spring Summer 2017 London Fashion Week  Copyright Catwalking.com 'One Time Only' Publication Editorial Use Only
JWアンダーソン

 JWアンダーソンはアシンメトリーヘムとバイアスの布使いを軸に、ギャザーやシャーリングなどのパーツの変化とグラデーションを組み合わせた。縦長のシルエットを強調したドレスは、中心からサイドに向けてドレープが流れるパターンとアシンメトリーな布の流れの二つのパターンがある。トップ部分にキルティングやシャーリングといったパーツを入れて、ウエストから斜めにボトムに向けて布を流すカットがメインとなる。フロントにひもを垂らしたリネンドレスやスパイラル状の布をつないだスカートなど、縦方向に揺れる布のディテールがバイアスの動きとともに強調される。セーターは袖口やヘムがローリングしたように部分的なボリュームを作る。ここ数シーズンに比べると大胆さには欠けるが、様々な要素を盛り込みながら、ジョナサン・アンダーソンらしい凛とした縦長のシルエットの中に収めた。

 

Mary Katrantzou Spring Summer 2017 London Fashion Week  Copyright Catwalking.com 'One Time Only' Publication Editorial Use Only
メアリー・カトランズ

 メアリー・カトランズは自らのオリジンでもあるギリシャを背景にして、トロンプルイユやオプティカルアートなどのグラフィカルな柄と組み合わせた。目のくらむようなオプアート柄のセットアップやドレス、そこに古代ギリシャのミノア文明の壁画や装飾品の模様が取り入れられる。グラフィカルなプリント柄は次第に花びらのような立体的な布の装飾となり、アクリル樹脂のような素材で作られたメタリックパーツがグラフフィカルな装飾に重ねられる。モアレのような柄をフラッシュカラーとともに切り替え、そこに立体的な刺繍を加えていく。かっちりとしたテーラードジャケットにもミノア文明の装飾が大胆にのせられた。春夏はパンツルックのセットアップやテーラードスタイルと、膝上丈のドレス、ペプラムディテールのマーメイドスカートといったクラシックでエレガントなアイテムが軸となった。

 

Simone Rocha Spring Summer 2017 London Fashion Week  Copyright Catwalking.com 'One Time Only' Publication Editorial Use Only
シモーネ・ロシャ

 シモーネ・ロシャは透明感のあるレースやチュール、コットンポップリンなどの素材をベースにしながら、デコンストラクトなラインを組み合わせた。春夏のキーワードにしたのは、「ユニフォームやパッチワーク、農場の仕事」。そんなイメージのせいか、シモーネの得意とするダークなロマンチックは優しい雰囲気へと変化している。カットワークレースのドレスはスリーブにリボンでボリュームを作ったり、ひらひらと斜めのドレープを入れたり。そこにアシンメトリーに片側だけ袖を抜き、途中で着るのをやめてしまったようなフォルムを作る。ジャカードドレスは部分的に布が膨らみ、背中にはバッグをたすき掛けしたようなボリュームを作る。チュールとジャカードとコットンの切り替えのドレスは無地と柄、デコンストラクトなフォルムの変化で見せるもの。素材使いやミドル丈のドレスというシモーネらしいラインはそのまま。アブストラクトなボリュームで新しいページに挑んだが、ややコムデギャルソンからの影響が強すぎるのか。

続きは繊研新聞で



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