18~19年秋冬デザイナーコレクションで気になったことの一つにデザインやアイデアのリサイクルがある。過去のデザインの復刻や前シーズンと同じコンセプトの継続といった傾向は、ロンドンやミラノ・コレクションで見られた。
マルタン・マルジェラのように、ずいぶん前から変わらないデザインの実験を重ねてきたデザイナーもいる。この間、変わらないコレクションを見せているのは「グッチ」だ。〝グッチらしさ〟を強調し、アレッサンドロ・ミケーレの確固たる世界を見せ続けている。ここ数シーズン、グッチに押されていた「プラダ」でも、過去のデザインの復刻が見られた。
「前シーズンのおさらいのようなデザインはバイヤー目線では見慣れていますが、消費者にとっては〝今も着るべき〟ものが多い」。リステアの柴田麻衣子バイヤーはそう語る。「それをもう一度出す戦略は、デザインの浪費を防ぐことにもつながります。新しいものがどんどん出てくると、お客様はすぐにはついて来られない感じがある。サイクルが少しスピードダウンしているように思います」。
シーズンごとに変わることを前提としたデザイナーコレクションで、変化しないコレクションを続けるには、そのブランドの持つデザインの強さが不可欠だ。強いデザインがあって、初めて復刻が新鮮に見える。