東京大学大学院や産業技術総合研究所などの研究グループは、水素ガスと触媒を用いてポリウレタン(PU)混の素材からPUのみを分解する手法を開発した。ポリエステルやナイロンのリサイクル時に阻害要因となるPUを分離でき、効率的なリサイクル技術の確立につながると期待される。
東大大学院工学研究科の山田悠斗修士課程学生(研究当時)、九州大学大学院工学研究院の岩﨑孝紀教授、産総研化学プロセス研究部門の田中真司上級主任研究員、東大大学院の野崎京子教授のグループが開発した。7月9日に国際学術誌『アンゲヴァンテ・ケミー・インターナショナル・エディション』オンライン版に公開され、注目論文に選出された。
独自に開発したイリジウム触媒を用い、添加剤のカリウム塩と反応剤の水素ガス(10気圧)を使ってPUのみを選択的に分解できた。この手法を使うと、PUは原料モノマーのホルムアミドとアルコールに分解される。
ポリエステル、ナイロン、ポリメチルメタクリレートそれぞれとPUを混合して検証したところ、いずれもPUのみ分解され、もう一方は分解されなかった。インナーウェアを想定したポリエステル88%・PU12%の複合繊維に同様の反応をさせたところ、1グラムの繊維からポリエステル繊維0.87グラム、PU分解物0.11グラムが回収でき、高い分離効果が確認できた。両者はろ過などの簡単な方法で分離可能という。
使用済みの衣料品、自動車、廃プラスチックなどのリサイクルの効率化につながる研究成果として期待する。