地元、観光客が満足する施設へ
沖縄の流通業サンエー(宜野湾市)とパルコ(東京)が共同出資会社「サンエーパルコ」を設立し、19年夏開業予定の沖縄県浦添市西洲の大型商業施設の企画・運営を共同で行うことで合意した。沖縄県は人口が増加傾向で、国内外の観光客が大幅に増えるなど、経済も発展している。市場の変化や競合が増えるなかで、新しい施設作りを狙うサンエーと沖縄進出を狙うパルコの思惑が一致した。
サンエーの上地哲誠社長は「自社での企画・運営も可能だが、これまでと同じような施設を作っても支持されない」と指摘する。今後も見据えて求められているのは「地元客とともに、国内外観光客にとって利便性があり、魅力的で楽しめる施設」。そこで、目先の施設作りより、長い目で見て地域の活性化につなげるため、「業界でもトップクラスの地位を築き、優れたテナントリーシング力や運営ノウハウを持つパルコと一緒にやる」ことで、相乗効果を発揮した施設作りに取り組む。
サンエーはこれまでもローソンとの合弁会社「ローソン沖縄」や東急ハンズのFC事業などを行ってきた。沖縄での事業の拡大につなげつつ、「新しいチャレンジは社員のモチベーションアップにもなっている」と、既存とは違うステージを社員に提供することで、人材力が向上しているという。
パルコの牧山浩三社長は「沖縄経済のポテンシャルはますます高くなっている。進出の機会があればとの思いがあった。初めての進出で、挑戦となる」と話す。今回「人材とソフト力は持っているが、巨大な投資は難しい」と、沖縄のマーケットを熟知し豊富な経験と実績があるサンエーとの合弁は「心強い事業パートナーで、これ以上ないチャンス」と見ている。エンターテインメントなど情報発信も含め、「沖縄にパルコがきて良かった」と言われるようにしたいと述べた。
施設は国内観光客には〝沖縄らしさ〟、インバウンド(訪日外国人)には〝日本らしさ〟、地元客には〝新しさ〟をキャッチフレーズにする。「幸せを共感してここから未来へ」をコンセプトに、両社のそれぞれの強みを生かしていく計画だ。