24年1月1日午後4時10分、石川県の能登半島を大地震が襲った。「令和6年能登半島地震」、地震の規模はマグニチュード7.6、輪島市と志賀町で最大震度7を観測した。
1月の織物生産に影響
石川県の地震被害は、災害関連死を含む死者469人、住家の全壊6075棟など(いずれも12月6日午後2時現在、同県発表)と甚大だ。能登は、化合繊織物など繊維の一大産地。織物製造で中能登町や七尾市などに工場を持つ国内最大手の丸井織物は、建屋が一部損傷したが、1月5日から全工場で一部稼働を再開した。
合繊の原糸生産などの東レ石川工場(能美市)やトリアセテート繊維生産などの三菱ケミカル富山事業所(富山市)、紡績の東洋紡富山事業所(富山県高岡市)など素材工場も一時的に操業を停止。染色大手の小松マテーレ(能美市)も工場建屋などが一部損傷、傘下の天池合繊も被災した。一村産業グループの創和テキスタイルは羽咋市の釜金工場が被害を受けた。
1919年創業で薄地織物を手掛けてきたシュクタニ(中能登町)は、修繕費用など含めた見通しが立たず自己破産した。
震源から100キロほど離れた内灘町やかほく市の大崎地区などは地震に伴う液状化現象で大きな被害が出た。この周辺は、インナー、スポーツウェア、ユニフォームの部材から携帯電話のストラップなどの副資材などに使われるゴム入り細幅織物や組みひもなどの国内最大の産地。関連する織布、撚糸、カバリング、染色などの中小零細の工場が集積するが、多くの工場建屋が損傷の被害を受けた。
石川県の1月の織物生産量は前年同月比22%減少した。そんな能登地方を9月21日、豪雨が襲った。土砂崩れや河川の氾濫(はんらん)は地震による打撃に追い打ちをかけた。
支援の取り組みも
復興支援に向けて業界の取り組みも進んでいる。繊維リソースいしかわは5月、石川県内の事業者が2工程以上を扱う製品を対象に「石川ファブリックス」の下げ札を希望するアパレル企業などに有償で配布、売上金の一部を義援金とする取り組みを開始した。12月6日現在の注文企業は30社、注文枚数は5万3610枚。
防災や災害関連死を防ぐ避難所の施設、備品の整備、地球環境保全などやるべきことはたくさんある。
(繊研新聞本紙24年12月13日付)