新型コロナウイルス ファッション関連企業も対策急ぐ

2020/02/13 14:39 更新


 中国での新型コロナウイルスの影響が広がっている。外務省は12日、在留邦人や渡航者の「早期の一時帰国や中国への渡航延期」を至急検討するよう求める注意喚起を発表した。また、感染者が増加している浙江省では「人の移動などに対して今後さらに厳しい規制措置が講じられる可能性」を指摘。日本政府は湖北省に続いて、浙江省にも滞在歴がある外国人の入国制限を始めた。現地では春節連休明けで労働者が戻りつつあるが、地域によっては工場再開の許可が下りていない。こうした状況を受け、ファッションビジネス関連企業も対策を急いでいる。

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◇一時帰国を検討

 YKKは外務省の注意喚起を受けて、中国に赴任している社員に対して、帯同している家族を原則一時帰国させる指示を出した。社員も「可能な者から順次、一時帰国の検討・対応をする」。帰国した社員や帯同者は2週間、不要不急の外出を控えるという。

 大手のアパレル企業は納期対策を進めているが、20年春夏シーズンに向けた商品供給への影響は避けられない。

 TSIホールディングスは中国生産について「現在の状況は把握できているが、中国当局の対応含めて今後については不確定要素が多い。3月以降の納品は当局の各種規制、現地事務所及び工場の稼働状況により変動の可能性ある」としている。同社は現地工場の本格稼働が遅れることを前提に、製品輸送を船便から航空便へ変更したり、最終検品(第三者検品)の国内振替、原料調達や生産地の変更などを検討している。

 中国での販売は「一部店舗は商業施設からの休業や営業時間短縮の延長の連絡がある」。グループ会社の上海東之上時装商貿有限公司の事務所は17日から、営業再開の予定だ。

 レナウンは南通を中心にした協力縫製工場の生産に影響が出ている。「10日からの稼働を計画していたが、再開が17日まで延期された。中国当局からは薬品関連、マスク生産を担う上場企業の工場の稼働は許可されているが、衣料品関連の工場については操業許可はまだ出ていない」状況だ。また、工場稼働の条件としてマスク着用や消毒液の完備が義務付けられており「数千人規模の縫製工場については対応が遅れている」。

 主力ブランド「アーノルドパーマータイムレス」は中国生産が全体の59%を占めており、3、4月納期の生産への影響が懸念される。「ダーバン」は中国生産の比率は6~7%。そのうち3~4%を占める4月からの納期を計画していた生産がストップしている。「アクアスキュータム」は中国で6~7%生産しており、3月分納期に影響がある。

 ルックホールディングスは「協力工場からの情報では、感染拡大を防ぐために地方出身者の14日間の自宅待機の影響や、工場再開の条件を満たせないため、一部工場で再開できていない」。生産や中国国内での陸送や航空便の減便による出荷への影響も不透明で「納期への影響は避けられない見通し」だ。今後の生産は中国での工場稼働地域やASEAN(東南アジア諸国連合)、日本国内などへの変更も検討する。

 イトキンは「現状では未操業のサプライヤーがほとんど」。「生産、物流に影響が懸念されるので、状況把握をした上で対処法を早急に検討する」としている。

◇営業再開、武漢支援も

 丸井織物(石川県中能登町)の子会社で合繊織物製造の丸井織物南通は10日から、生産を再開している。90人弱の従業員もほぼ全員復帰した。現在は春節前に受けた注文分を生産しているが、今後の受注への影響は不透明という。

 イオングループでは武漢市でGMS(総合小売業)5店は営業を継続するとともに、武漢市人民政府に100万元の支援金を寄付した。食料品、マスク、飲料水などの支援物資もとどけている。中国への渡航は外務省の注意喚起に従い「不要不急なものは見合わせるようにしている」という。

 新型コロナウイルスの感染拡大の余波がパリ、ミラノの欧州コレクションへの出張自粛にも広がっている。三越伊勢丹や高島屋は原則、欧州出張を控えることを決めた。例外的に出張を認める場合も現地での不要不急の外出や集団行動を避けるように注意喚起している。20~21年秋冬レディスコレクションはロンドンが14~18日、ミラノが18~24日、パリが24日~3月3日の日程で開かれる。欧州への海外出張の自粛は当面、その他の欧州の展示会にも影響が広がる見通しだ。

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