やりがいや個性、「好き」を追い求める若者たちが産地に集まり始めた。尾州のファンシーツイード、備後のデニム、遠州の高密度な綿織物――故郷や親しんだ居住地を離れ、産地ならではの技術を学び、自分だけの強みを身に着けたい。熱意が企業にとどまらず、産地にもポジティブな変化をもたらしている。
神奈川の美術大学を卒業した横井春奈さんは、23年2月にテキスタイルメーカーの小塚毛織(愛知県一宮市)に入社した。きっかけは、小塚毛織の工場を起点として活動するファンシーツイードが強みのカナーレの「滝織」の生地。生産工程をSNSで目にし、その技術に驚いた。