【新型コロナウイルス情報】ニューヨークの今

2020/03/21 12:15 更新


 【ニューヨーク=杉本佳子通信員】ニューヨークの新型コロナウイルス感染者は連日増え続け、3月18日時点で2千人近くになった。ニューヨーク市のデブラジオ市長は18日、翌週には1万人を超えてもおかしくないと予想し、ニューヨーク州のクオモ知事は4月末がピークとの見方を示す。

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 目に見えないウイルスを相手にしていて、自分が感染しているかどうかもわからないため、人との接触を避ける「ソーシャル・ディスタンシング」という新語が広がっている。小売店もほぼ大方が閉店した。ナイキがいち早く閉店した後も営業を続けていたアディダスも、ついに閉店。5番街のバナナリパブリックのドアには、「営業時間短縮のお知らせ」の張り紙があった(18日時点)。店内から「どうぞ」と手招きする女性販売員の姿を見かけて入ってみると、「今日5時まで営業します。この後は最低2週間閉まります。ギャップもオールドネイビーも同じです」と言われた。そして、「何かあったら言ってくださいね。今この店にいるお客さんはあなただけですから」と微笑みながら言われた。店内を一通り歩いてみたが、やはり感染のことを考えると、気軽に商品を手に取ってみる気になれなかった。

 5番街の人通りもまばらだ。ホームレスはところどころに座り込んでいるが、あまりの人の少なさに、今まで以上に途方に暮れているに違いない。劇場や映画館、スポーツジムなども休業し、ヘアサロンとネイルサロンも閑古鳥が鳴く。レストランとバーもテイクアウトとデリバリー以外の営業は停止となり、大量解雇が既に始まっている。このソーシャル・ディスタンシングの時代と景気後退期に、ファッションができることは何か。現時点で唯一言えるのは、ファッションでも食でも何においても、「安心」「安全」を売ることができるビジネスが優位にたつということだろう。生産・物流も含めて安心、安全を今まで以上にアピールできるファッション商品が求められていくのではないだろうか。

 「9・11」の同時多発テロの時、煙を上げ崩れ落ちたワールドトレードセンターを見て「映画を観ているみたい」と思ったが、今回も「サイエンスフィクション映画の中に紛れ込んだかのよう」という思いが頭をもたげる。そして、9・11の時よりずっと経済的、精神的に悪い状況と感じている。

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