上海は10日から経済活動を再開した。市政府からの要請もあり、今週は自宅作業の企業が多い。オフィスビルでは入り口で入館者の検温や消毒を実施している。入居社以外の人の入館を制限するビルもあり、経済活動再開と言っても限定的な状況だ。メーカー、商社は工場の稼働状況確認に追われている。
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春節休暇が終わり、故郷から勤務地への移動が段階的に始まっている。外地から戻った場合は2週間自宅待機を求められるため「工場の稼働は2月末くらいから」(瀧定紡織品上海)、「上海郊外、江蘇省、山東省の工場は2月24日から3月頭くらい」(上海茉莉林紡織品)と、生産再開が当初の予定より大幅に遅れ、春物の調整分や盛夏物の納期遅れは避けられない状況にある。南通で生産するアパレルメーカーも「10日に許可を申請済みで許可待ちだが、先行き見えず」、また、張家港に現地行員比率90%の工場をもつメーカーは「11日からの再開許可を得たが、100%稼働は2月末」という。
2週間自宅待機は小売りにも影響を与えている。外地から戻った販売員も、すぐには店頭に立てないからだ。それより深刻なのは「消費者マインドの減退」による売上高の大幅な減少だ。ある日系ブランドの担当者は、「半数の店舗が閉店。2月の売上高は前年同期比1%」と語る。飲食などをもつ商業施設も営業時間短縮の影響もあり売上高は前年を大幅に下回っているものとみられる。こうした状況を踏まえ、上海の各区政府は中小企業を対象に家賃の減免を検討するように奨励している。
上海ファッションウィークなどが延期に
上海時装週組委会は10日、3月26日から予定していた上海ファッションウィークとモード上海を延期すると発表した。ファッションウィーク期間中に同時開催の主要展示会で同27日から予定していたオンタイムショーも11日に延期を発表した。いずれも開催時期は未定としている。また、同28日から予定のショールーム上海は会期を4月10~13日に延期すると関係者に通知した。地元メディアによればセレクトショップなどを運営するレーベルフッド(LABELHOOD)やチューブショールームなどが主催する展示会も延期が決まった。
(上海支局)