工業用ミシン糸を主力とする永井撚糸(大阪市)が、バイオマス原料を有効利用した国産の合成皮革「バイオ・ビーガンレザー・シリーズ」の販売を始める。製造は合皮製造大手、共和レザーグループの共和ライフテクノ(徳島県鳴門市)。豊富な色数を備蓄して最小で1メートルから販売する。4月からサンプルの配布を始め、6月には全ての見本帳が揃い、本格的に販売する予定だ。
素材は3種類。リンゴジュース用のリンゴの搾りかすを使う「アプレナ」、里山保全のため計画伐採された竹を使う「バンブレナ」、ヒノキ材の加工場で発生する木粉を使う「ヒノキレザー」。いずれの原料も共和ライフテクノの技術やノウハウを生かし、細かく粉砕してポリウレタンに配合し、樹脂層を形成。バイオマス原料の混率はアプレナが25%、バンブレナ8%、ヒノキレザー18%。原料から生産、出荷まで国内で完結し、「トレーサビリティー(履歴管理)が可能」な点も訴求する。
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それぞれに特徴を持たせ、アプレナとヒノキレザーはソフトでしなやかな質感。アプレナはシボがやや粗め。バンブレナはやや硬めで、竹が持つ天然の消臭性はアンモニア、酢酸、イソ吉草酸に対して効果を確認したという。
厚みはアプレナとヒノキレザーが0.8ミリ、バンブレナが1.3ミリ。生地幅は全て137センチ。各10色を備蓄し、かばんや靴、家具のほか自動車用シートといった産業資材など幅広い分野のニーズに対応する。工房レベルの生産量や個人作家のような需要にも応える。耐久性については、現在試験中だが「日本市場で求められる品質をクリアできる高い水準」を見込む。
永井撚糸は21年にメキシコのアドリアーノ・ディ・マルティがサボテンを活用して開発した合皮「デザート」の輸入販売代理店となり、同社が在庫を持ち販売するビジネスを開始。現在も着実にユーザーは増えているという。一方、デザートの営業を通じ、海外製品よりも明確にトレーサビリティーを証明でき、日本で求められる品質や企画に柔軟に対応できる国内メーカーによる日本製品の必要性も感じていた。