時を超えるサンローラン 国立新美術館で33年ぶりの大回顧展

2023/09/21 15:00 更新


62年に初めて発表した春夏オートクチュールコレクション。船乗りの作業着に着想を得たという

 国立新美術館などが主催する展覧会「イヴ・サンローラン展 時を超えるスタイル」が9月20日始まった。イヴ・サンローラン美術館パリの全面協力のもと、33年ぶりに日本で開催される大回顧展だ。日本初公開のドレスを含むオートクチュールの110体に加え、ドローイングや写真など、合計262点を展示する。12月11日まで。

 同展は、国立新美術館と本国との間で17年から準備してきた。開催に当たり、イヴ・サンローラン美術館パリのプレジデントや館長、キュレーターも来日した。

 「日本では90年に最初の回顧展をセゾン美術館で開催し、日本との関係性には強いものがある。イヴ・サンローラン氏の没後、日本で初めて開催されるこの回顧展では、20世紀最大の才能を持ったクチュリエであり、革命家、ロマンティスト、芸術家、旅行者といった様々な一面を発見してもらう機会になるだろう」とチーフキュレーターのセレナ・ブカロミュセリさんは話す。

来日したイヴ・サンローラン美術館パリの代表者と国立新美術館の研究員

 12章で構成する。幼少期の写真や作品に始まり、メゾンを設立して62年に発表した初のオートクチュールコレクション、アイコニックなスタイル、卓上の旅を通じた異国情緒のドレスなど、後世につながるファッションデザイナーの発想源となっていることがわかる。クリエイションに欠かせなかったジュエリー、演劇や映画の衣装も展示する。

歴史的なアイコニックスタイルを紹介
男性的なカットを取り入れた女性らしいスタイルは当時、革新的なものだった
想像の旅をテーマにした展示では着物に着想を得たドレスも
芸術家に敬愛を込めた作品も複数展示する

 最終章は、本との関わりに焦点を当てた。63年4月に初めて来日してオートクチュールコレクションを発表し、東レと契約して世界に先駆けてプレタポルテ(既製服)を開始したことなど、ビジネスと文化の両面で信頼を寄せていたことを感じさせる。

来日時に日本の文化に親しむイヴ・サンローラン氏の写真

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