良品計画は、1月13日と2月3日の値上げを機に、低価格商品の導入や家具の月額定額サービスの拡大など、新たな商品販売と事業を開始する。値上げ前の価格帯の品揃えを強化し、客離れを防ぐ。堂前宣夫社長は1月6日の決算会見で「これまでと同じ価格の商品を投入し、単純な値上げとならないよう準備をしている」とした。
値上げは23年春夏商品の2割で行い、値上げ幅は平均で25%。大型家具、プラスチック収納、布団カバーなどの布製品、食品、生活・雑貨の小物などが対象だ。円安と原材料高騰には、取引先も巻き込んだ生産の平準化や在庫リスクを負って価格を据え置いてきたが、コスト吸収が限界に達した。
値上げ商品に代わる従来価格帯の新商品やサービスの導入が可能となり、踏み切った。値上げ対象の綿のベッドシーツに代わり、新たに乾きやすい機能性素材のシーツを値上げ前の価格帯で販売する。ジュート、ウォーターヒヤシンス、竹などの安価な素材の商品群もある。
家具は、他社との価格競争からの脱却を目指す。月額定額サービスを家具のほぼ全商品に拡大し、そのまま使い続けることも可能にする。不用家具の引き取りや修繕、ビンテージ家具の取り扱い、中古販売に取り組み、売り切り型の事業モデルから転換する。循環型モデルに適した定番家具の新規開発も行う。
プラスチック商品は、紙などの代替素材やリサイクル商品に変更し、他社と協力して新たな産業化につなげる。黒色のリサイクルプラスチック商品の販売開始や、全店でプラスチック商品も回収する。
商品企画の見直しを進めていた衣料品は、ベーシックなカテゴリーの充実やスタイリングを見せるVMDの追加により、全体の売り上げが上向いた。商品では、天然素材の機能性インナー「あったか綿」を打ち出し、売り上げが大きかった。