経済産業省は5日、都内で7回目となる「ものづくり日本大賞」の経済産業大臣賞および特別賞の表彰式を開いた。 繊維・衣料品関係の企業は、オーガニックコットン製品のスマイリーアース(大阪府泉佐野市)が経済産業大臣賞(製造・生産プロセス部門)、ニットの米富繊維(山形県山辺町)が特別賞(製品・技術開発部門)を受賞した。
スマイリーアースは「究極のオーガニック製品作り」(奥龍将社長)を目指し、自然環境への負荷を極限まで低減したタオルの一貫生産工程が評価された。ウガンダで無農薬栽培された綿花を使い、各工程で水や化石燃料、化学薬剤の使用を大幅に削減した。水だけで精練する「自浄清綿法」は特許技術。奥社長は「継承可能な産地を形成するとともに、消費者に安心、安全な商品を提供したい」と語った。
米富繊維は素材、形状、色が異なる複数種類の糸を組み合わせた交編技術を生かした高付加価値ニットの自社ブランド「コーヘン」の開発が評価された。100%OEM(相手先ブランドによる生産)だった同社が10年秋冬にスタートしたのが同ブランド。長年蓄積されたニットのノウハウと、ユニークな発想・企画力を強みに国内外で販路を広げている。表彰式には大江健社長と、大江社長が「〝ニットの神の中の神〟」と称える熟練の職人たちも登壇。「ベテラン職人さんがいたからブランドを作ることができた。今回の受賞は皆の意欲向上につながる」と話した。
ものづくり日本大賞は、製造現場の中核を担う中堅人材や、伝統的・文化的な技を支えてきた熟練人材、今後を担う若年人材の中で、特に優秀と認められる人物およびグループを表彰する制度。有識者で構成される選考分科会と選考有識者会議で、応募者の中から受賞者を選ぶ。今回の経済産業大臣賞は18件で86人、2団体、特別賞は15件で74人、1団体が受賞した。