10月15、16日の2日間にわたり、ベルリンのミッテ区に拠点を構えるPRエージェンシー「Press Factory」のショールームにて、「PRESS DAYS」と題したイベントが開催された。本イベントは、2027年春夏コレクションをプレス関係者に披露することを目的に開催され、アパレル、ジュエリー、化粧品、食品など、幅広い分野から全19ブランドが参加した。
「Press Factory」は、サステナブルな取り組みを行うブランドやメーカーを中心に、「Berlin Fashion Week」の常連ブランドからドイツ国外のブランドまで、多彩なブランドを取り扱っている。今回のイベントで最新コレクションを披露したのは、日本製の高機能素材を使用するノルウェー発の「Norwegian Rain」、ギリシャの伝統的な手織り生地を用いたベルリン発の「Panos Gotsis」、老舗シューズブランド「Red Wing Heritage」、テーラリングとデニムを軸に展開するデンマーク発の「MOS MOSH」、ドイツ発のスキンケアブランド「DR. SPILLER」、ヴィンテージ生地をアップサイクルするベルリン発の「PLAID-À-PORTER」など。

その中から、特に注目したいブランドをいくつか紹介したい。「MOS MOSH」のメンズラインとして2020年にスタートした「MOS MOSH Gallery.」の2027年春夏コレクションでは、春らしいカラーのシャツジャケットとショーツのセットアップをはじめ、ポロ襟の半袖ニット、ラガーシャツ、カバーオール、コーチジャケットなど、プレッピーやレトロスポーツ、ワークウェアの要素を取り入れたアイテムを展開。私自身、メンズウェアのデザインが好きで、普段から取り入れていることもあり、自分らしいスタイルに合わせてコーディネートしてみたいと思った。


「Berlin Fashion Week」でも存在感を放っていた「PLAID-À-PORTER」は、2023年にベルリンで設立されたブランド。ヴィンテージ生地をアップサイクルし、ドレスやジャケット、コートなどへと再構築している。中でも、フランスの伝統的な織物であるゴブラン織りのタペストリーを用いたデザインが印象的で、レースと組み合わせた芸術性の高いドレスがひときわ美しかった。

Photography: Ian-Kiplimo
ヨーロッパには華奢なデザインを特徴とするランジェリーブランドも多いが、「NATURANA」は機能性、デザイン性、着心地を重視し、品質やサステナビリティーにも配慮した製品づくりを行っている。ドイツ南西部のゴマリンゲンに本社を構える同ブランドは、1917年創業という100年以上の歴史を誇り、コルセットメーカーとしてスタートした。当時、身体を強く締め付けることが一般的だったコルセットに対し、医師と協力して、身体を支えながら動きやすさと呼吸のしやすさを実現した「リフォーム・コルセット」を開発した。


その後も研究開発を重ね、現在ではブラジャー、ショーツ、補整下着、ボディウェア、水着などを展開するブランドへと成長した。シンプルなデザインながら、着用時のシルエットが美しく、バストの中央部分にのみ柔らかいワイヤーを施したアイテムなど、実際に試してみたくなる工夫が随所に見られた。

1960年にドイツで創業した「DR. SPILLER」は、自然由来の成分と皮膚科学に基づく技術を組み合わせたスキンケアブランドで、エステティックサロンなどでも使用されている。
同ブランドもそうだが、ドイツで長い歴史を持つブランドには、アパレルに限らず、家族経営を続けている企業が多い印象を受ける。また、サステナブルな取り組みに積極的な企業も多い。歴史を重んじ、伝統技術やクラフツマンシップを大切にする国民性が関係しているのだろうか。この点については、専門的なデータなども調べながら、さらに詳しく知りたいと思う。

「Press Factory」のプレスイベントには前シーズンも参加したが、各ブランドの最新コレクションを一度に見ることができ、次のシーズンのトレンドを分析する上でも貴重な機会となっている。また、イベントではシェフを招いたケータリングも用意され、目の前で調理された出来立ての料理を楽しめるのも魅力の一つだ。今回は、ベルリンのプレンツラウアー・ベルク地区に店舗を構えるトルコ料理レストラン「Osman’s Töchter」が料理を提供し、トルコの家庭料理を堪能させてもらった。


長野県生まれ。文化服装学院ファッションビジネス科卒業。
セレクトショップのプレス、ブランドディレクターなどを経たのち、フリーランスとしてPR事業をスタートさせる。ファッションと音楽の二本を柱に独自のスタイルで実績を積みながら、ライターとしても執筆活動を開始する。ヨーロッパのフェスやローカルカルチャーの取材を行うなど海外へと活動の幅を広げ、2014年には東京からベルリンへと拠点を移す。現在、多くの媒体にて連載を持ち、ベルリンをはじめとするヨーロッパ各地の現地情報を伝えている。主な媒体に、Qetic、VOGUE、men’sFUDGE、繊研新聞、WWD Beautyなどがある。
