「ミスターイット」(砂川卓也)は2月14日、25年秋冬のプレゼンテーションを行った。前回同様に東京都内のスタジオを会場にして、砂川が表に出て、男女の一体一体を調整するオープンフィッティングのショー形式で見せた。
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普段使いの1着にクチュール的な要素を取り込む手法を発展させて、着る人の多面的な魅力を引き出した。フーディーに重ねたトレンチコートは、背中のヨーク下をラウンドカットのトレーンを引く薄手の生地に切り替え、空気をはらんで柔らかになびくシルエットを描き出す。日常から離れず、男性らしさも女性らしさも包容するエレガンスを引き出した。
女性のモデルが着用する真面目なジャケットは片方のラペルが比翼仕立てになっていて、比翼の内側のサテンがさりげない色気を添える。セットアップのスカートは、パネル状の生地を半分閉じてプリーツスカート風に見せる。歩くと素足がのぞき、清楚(せいそ)さの中にフェティッシュな表情が現れる。相反する要素が揺れ動いて見える美しさが目を引いた。
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(須田渉美)