「ミキハウス」の子供靴の売り上げは、全体の3~4割を占める。年間110万~120万足を生産し、うち50万足は日本製だ。数少ない加硫製法を採用し、「トップクラスの工場とものづくりが出来る」ことにやりがいをかみしめる。
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スイングジャズなど、古くから受け継がれる音楽に魅了され、当時の音楽と共にあった靴にも関心を寄せた。新婚旅行では、革靴の産地の英ノーザンプトンや仏リモージュを訪れたほどだ。
加硫製法は熟練の手作業が要で、その価値を価格に反映することが生産体制の維持にもつながる。看板商品のファーストシューズは、かつては3800円だったが、海外需要も追い風に値上げを重ね、今では9500円で販売する。昨年、全体的な値上げで高級路線にかじを切った同社だが、靴はその先行事例でもある。
最高級ライン「ゴールドレーベル」24年春夏物では、ラムスキンのプレシューズを企画した。細かなパンチングや本金メッキボタンなど本格仕様で、8万円で販売する。日本の生産キャパシティーは限られているため、高値で販売できる価値ある靴の提案に意欲を燃やす。目標は「加硫製法で本革の靴を作ること」。実現に向け、試行錯誤を重ねている。
箕岡弾(みのおか・だん) 00年入社。生産管理、商品企画、MDで長く雑貨・小物に携わる。10年間務めたMDでは、靴の企画から店頭表現までを担った。6月に商品企画部に異動し、若手育成にも力を注ぐ。45歳。
(繊研新聞本紙23年10月4日付)